投稿者: 行政書士吉村

  • 民法第819条の改正内容とその解説

    民法第819条の改正内容とその解説

    改正の趣旨

    これまで日本の民法では、離婚後の父母のいずれか一方を「単独親権者」と定める制度が採られていました。しかし、国際的には離婚後も「共同親権」を認める法制度が一般的であり、日本の制度との乖離が指摘されてきました。
    今回の改正は、「子の利益の最大化」を主眼に、離婚後も父母が共同して親権を行使できる制度へと転換する重要な一歩です。

    第819条の条文比較と解説

    【第819条第1項】(協議離婚時の親権者指定)

    改正前:
    父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
    改正後:
    父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。
    解説:
    これまでは、協議離婚時に必ずどちらか一方のみを親権者としなければならず、父母双方を親権者とすることは認められていませんでした。改正により、父母の合意があれば、離婚後も共同親権を選択できるようになりました。これは、父母双方が継続して子の養育に関わることを可能にする重要な転換点です。

    【第819条第2項】(裁判離婚時の親権者指定)

    改正後:
    裁判所は、父母の双方または一方を親権者と定めることができるようになりました。
    解説:
    裁判離婚でも、裁判所が共同親権を認める判断が可能になりました。ただし、共同親権が必ず認められるわけではなく、「子の利益」が最優先され、状況に応じて単独親権が選択されることも当然にあります。

    【第819条第3項】(出生前離婚の場合の親権)

    改正後:
    出生後、父母の協議により共同親権も選択可能になりました。
    解説:
    従来は、出生後に父を単独親権者とすることのみが可能でしたが、改正により出生後に共同親権も選択できるようになりました。離婚時点での母の親権を原則としつつ、父母双方が望む場合に、出生後の共同親権を認める柔軟性が導入されました。

    【第819条第4項】(認知した子の親権)

    改正後:
    父母の合意により、共同親権が可能になりました。
    解説:
    改正前は、母の単独親権が原則であり、例外的に父が単独親権者になることのみ認められていました。改正により、父母が合意すれば、共同親権も可能となります。非婚の父母でも、父母双方が育児に積極的に関わる道が広がったことを意味します。

    【第819条第5項】(協議が不調の場合)

    解説:
    協議ができない場合、裁判所が判断する制度自体は変わりませんが、単独親権か共同親権かを家庭裁判所が総合的に判断する場面が生まれました。

    【第819条第6項】(親権者変更)

    改正後:
    「子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」
    解説:
    改正により、親権者変更の申立てが「子本人」からも可能になりました。これは子の権利を尊重する現代的な改正であり、子ども自身が家庭環境に対して異議を申し立てられる重要な制度的保障です。

    【第819条第7項(新設)】(単独親権を選択すべき場合)

    条文の趣旨:

    家庭裁判所は、共同親権か単独親権かを判断する際に「子の利益」を最優先に考慮しなければならず、以下のような場合には必ず単独親権としなければならないと定められました。

    • ① 父母のいずれかが子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき。
    • ② DV等が存在する場合、または親権を共同で行うことが困難と認められる事情がある場合。

    解説:
    特に、ここで重要なのは「DV等」の定義が身体的暴力に限られず、精神的な虐待や経済的支配も含む広範な概念である点です。裁判所は、単に両親の意思ではなく、子の安全性と福祉を重視し、共同親権が子の利益を害する場合は、必ず単独親権とする義務を負います。

    【第819条第8項(新設)】(親権者変更時の協議経過の考慮)

    条文の趣旨:

    親権者変更時、家庭裁判所は「当初の協議の経過」をも重視しなければならないとしました。具体的には、

    • DV等が協議時に存在したか
    • 調停やADR(裁判外紛争解決手続)が利用されたか
    • 公正証書の作成が行われたか

    これらを考慮し、当初の協議が適切に行われたかどうかを丁寧に判断します。

    解説:
    親権者を後から変更する場合に、形式的に「子の利益が害されているか」だけを見ず、過去の協議が公正であったかを検証する仕組みです。これにより、不適切な合意、強要、暴力に基づく協議が将来問題となった場合でも、裁判所はその協議の妥当性を再評価することが可能になります。

    まとめ

    今回の改正で、日本の親権制度は「単独親権が原則」から、「子の利益を最優先に、共同親権も選択可能な制度」へと進化しました。

    • 離婚後も共同親権が可能に
    • DV等の安全配慮に基づく単独親権の明文化
    • 子ども自身が親権者変更を求められる制度の導入

    今後は、協議内容の記録やDVの有無の確認が一層重要になります。

    行政書士にご相談ください

    離婚後の親権に関するご相談、公正証書作成のご支援など、行政書士がしっかりサポートいたします。
    民法改正を正しく理解し、お子様の未来を守るために、ぜひご相談ください。

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  • 【民法改正を解説】離婚後の親権制度が大きく変わる!共同親権の導入とそのポイント

    【民法改正を解説】離婚後の親権制度が大きく変わる!共同親権の導入とそのポイント

    2024年の民法改正により、離婚後の親権に関するルールが大きく見直されました。

    これまで日本では、離婚後の親権は「単独親権」が原則であり、父母のどちらか一方が親権者となっていました。

    しかし今回の改正により、離婚後も共同親権を選択できる仕組みが導入されました。


    このブログでは、改正前後の違いと、具体的な運用イメージ、注意点について、わかりやすく解説します。


    1.改正前のルール(単独親権が原則)

    改正前は、協議離婚の場合も裁判離婚の場合も、必ず父母のどちらか一方を親権者と定めなければならないとされていました。

    【民法第819条 改正前】

    • 第1項:協議離婚では「父母の一方を親権者と定めなければならない」
    • 第2項:裁判離婚でも「父母の一方を親権者と定める」
    • 第3項、第4項:子が出生前に離婚した場合や、父が認知した場合でも、父母の協議で「父を親権者とする」ことはできたが、「共同親権」は認められていなかった。

    つまり、改正前は離婚後に父母が共同して子の親権を持つことはできず、親権者となれなかった親は「法律上の親権行使権」を失い、子どもの進学や医療に関する重要な決定にも関与できない状況でした。


    2.改正後のルール(共同親権の導入)

    改正により、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選べるようになりました。

    【民法第819条 改正後のポイント】

    • 第1項:協議離婚の場合、「父母双方または一方を親権者と定める」ことが可能に。
    • 第2項:裁判離婚の場合も、「父母双方または一方を親権者と定める」ことができる。
    • 第3項、第4項:出生前離婚や認知の場合も、共同親権の選択肢が明確に加えられた。
    • 第6項:これまで「子の親族」しか親権者変更を申し立てできなかったところ、子本人も請求可能に。
    • 第7項・第8項【新設】:共同親権の可否を判断する基準が明文化された。

    3.裁判所の判断基準(重要ポイント)

    今回の改正で、父母の双方を親権者とする場合でも、必ず「子の利益」が最優先されます。

    裁判所は以下の事情を総合的に考慮し、共同親権が子の利益を害する場合は必ず単独親権とします。

    • 親の一方が子を虐待するおそれがある場合
    • 一方が他方に対してDV(身体的・精神的暴力を含む)がある場合
    • 協議が不成立になった経緯から、父母の共同意思決定が現実的に難しい場合

    共同親権は「子にとって最善」であることが前提であり、リスクがある場合は強制的に単独親権となります。


    4.親権者変更時の新ルール

    親権者を後から変更する場合、以下の事情が特に考慮されます。

    • 親権を決めた際の協議の経過
    • DVの有無
    • 家事調停や裁判外紛争解決手続(ADR)の利用の有無
    • 公正証書の作成有無

    これにより、不適切な合意や子の利益に反する場合は、家庭裁判所が親権者を変更することも可能になりました。


    5.実務上のイメージと注意点

    実務でよくあるケース

    • 協議離婚時に共同親権を選択したが、後に父母の対立が激化し、子の生活に悪影響が出た場合 → 家庭裁判所が単独親権に変更可能
    • DV被害を受けていた親が協議時に十分な主張ができなかった場合 → 協議経緯を家庭裁判所が審査し、不適切なら変更可能

    注意点

    • 共同親権でも子の進学・医療・居住地など重要事項の協議は必須。意見がまとまらない場合はトラブルのもと。
    • 離婚協議時に「具体的なルール」や「紛争時の手続き」も定めておくことが重要。
    • 共同親権の導入により「子の利益を守る」視点が一層重視されるため、家庭環境や親の関係性を慎重に検討する必要がある。

    6.まとめ

    今回の改正で、離婚後も父母が共同で子どもを育てる仕組みが法的に整いました。

    しかし共同親権は「子の利益」が守られることが大前提であり、単に「父母の希望」だけでは判断されません。

    父母が協力できるか、子どもにとってどちらが幸せかが問われる時代です。


    親権の選択は家庭事情により慎重な判断が必要です。

    迷われている方は早めに専門家に相談することをおすすめします。

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  • 親の責務と親権に関する民法改正

    親の責務と親権に関する民法改正

    ~2024年改正の重要ポイントをわかりやすく解説~

    2024年の民法改正により、「親の責務」に関する新しい規定(民法第817条の12)が新設されました。あわせて、「親権」の基本的な考え方(民法第818条)も見直され、子どもの利益をより重視した法律の内容となりました。

    この改正は、これまで十分に明文化されていなかった「父母の責任」や「親権の目的」をはっきりと示し、親子関係に関するルールをより子どもの立場に立って整理したものです。

    ここでは、改正前と改正後の違いをわかりやすくご紹介します。

    1.改正前の民法の問題点

    (1)親の責務に関する規定がなかった

    改正前の民法では、親が子どもをどのように育てるべきか、どのように接するべきかが法律の条文に明記されていませんでした。

    親権は「親の権利」という側面が強く、親の義務や責任については、判例(裁判例)や社会の一般的な考え方に頼るほかありませんでした。

    特に、父母が離婚や別居した場合でも「お互いに協力する義務がある」とは法律で明示されておらず、共同で子どもを育てることの重要性が十分に認識されにくい状況でした。

    (2)親権の目的がはっきりしていなかった

    改正前の民法第818条には「親権者」に関する規定はありましたが、「親権は誰のために行使するものか」という根本的な目的が明確に示されていませんでした。

    そのため、実務では「親権は親のための権利なのか」「子どものためなのか」といった議論があり、親権の行使が親の都合で進められてしまうリスクが指摘されていました。

    2.改正後のポイント

    (1)民法第817条の12(新設)【親の責務】

    改正により、父母の基本的な責任が条文に明文化されました。

    主な内容

    • 父母は、結婚しているかどうかに関わらず、子どもの人格を尊重し、年齢や成長に応じて養育しなければならない。
    • 父母は、子どもが自分たちと同じような生活水準を維持できるように扶養しなければならない。
    • 父母は、別居や離婚をしていても、子どもの利益のために、お互いの人格を尊重し、協力しなければならない。

    意義

    この規定により、離婚後であっても父母が「子どもを共に育てる責任がある」ことが法律で明確に示されました。

    従来は「親の権利」が重視されていましたが、これからは「親の責務」が法律上の中心になる、大きな価値観の転換と言えます。

    (2)民法第818条(改正)【親権の目的の明確化】

    改正により、親権は「子どもの利益のために行使しなければならない」と条文で明記されました。

    改正前

    親権者が誰かを定める条文はありましたが、親権の目的についての明記はありませんでした。

    改正後

    「親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない」と明確に書かれました。

    意義

    これにより、親権者が自分の都合で子どもに不利益を与える行為は、法律上、より強く制限されることになります。

    たとえば、親権者が他方の親との面会を一方的に妨害する場合、「それは子どもの利益に反する」として、法的に是正を求めることができる場面が増えることが予想されます。

    3.実務への影響

    • 離婚後も父母が協力して子どもを養育するための基準が明確になった
    • 面会交流を巡る争いで「子どもの利益」を優先する判断がしやすくなった
    • 親権者が自己中心的に権利を濫用することを防ぐ効果が期待される

    これまでは、「親が拒否すれば子どもに会わせなくても仕方がない」といった考え方も一部にありましたが、改正後は「親は協力しなければならない」という法的義務が明記され、実務でも親同士の協力がより重視されるようになると考えられます。

    4.まとめ

    項目改正前改正後
    親の責務明文化なし養育義務・協力義務を明記
    親権の目的明文化なし子の利益のために行使

    今回の改正は、「親権は親の権利ではなく、子どものための義務である」という考え方を法律でしっかりと確認したものです。

    これからの親子関係は、父母が互いに協力し、子どもの最善の利益を第一に考えた養育が求められる時代へと進んでいくことが期待されています。

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  • 【令和6年民法改正】家族法の重要ポイントをわかりやすく解説

    【令和6年民法改正】家族法の重要ポイントをわかりやすく解説

    令和6年5月に成立した「民法等の一部を改正する法律」は、親権、離婚、養育費、親子交流といった家族法に大きな影響を与える重要な改正です。

    このページでは、民法改正のポイントを5つに分けてわかりやすく解説します。

    なお、次回以降は各ポイントをさらに詳しくご説明します。

    1. 親の責務が法律で明確に規定されました

    改正民法では、父母が子に対して負う責任が明確に定められました。

    父母は、婚姻の有無にかかわらず、子どもの心身の健やかな成長を図るため、その人格を尊重し、協力して養育することが義務付けられています。

    この改正は、親子関係において子どもの権利を重視し、親同士が協力する重要性を法的に裏付けたものです。

    2. 親権制度の見直しと共同親権の導入

    これまで離婚後は、一方の親のみが親権を持つことが原則でしたが、今回の改正で父母双方が親権を持つ「共同親権」が認められました。

    単独親権となる場合

    • 父母間で協議が整わない場合
    • 虐待や家庭内暴力があり、子の利益が害されるおそれがある場合

    親権変更の際には、協議の経過も重視され、不適切な合意を防ぐ制度も整えられました。

    3. 養育費支払い確保のための法整備

    養育費の不払いを防ぐため、今回の改正で養育費債権に優先的な差押権(先取特権)が認められ、債務名義がなくても差押えが可能になりました。

    また、父母間の協議が整わなくても養育費を請求できる新たな法制度も創設され、養育費の履行確保が実質的に強化されています。

    4. 安全・安心な親子交流の支援

    離婚後も子どもと別居している親が交流できるよう、次の仕組みが整えられました。

    親子交流の新たなルール

    • 調停・審判の前に試験的に親子交流を行うことが可能に
    • 婚姻中の別居時にも親子交流ルールを適用

    これにより、子どもが安心して親と交流を続けることができる環境が法的に支援されました。

    5. その他の家族法関連の改正点

    今回の改正では、次のような家族法全体に関わる見直しも行われました。

    • 養子縁組後の親権者に関する規定を明確化
    • 離婚時の財産分与請求期間が2年から5年に延長
    • 財産分与の考慮要素の具体化
    • 祖父母など親族と子どもの交流に関する新しい規定を整備

    これらの改正は、現代の家族の多様な形に対応した柔軟な法制度を目指しています。

    【まとめ】令和6年民法改正は子ども中心の法改正

    今回の民法改正は、親子関係のルールを現代社会に合わせて大きく見直したものです。

    親の責務の明確化、共同親権の導入、養育費履行の強化、親子交流支援など、すべてにおいて子どもの利益を第一に考えた内容となっています。

    次回のブログでは、「親の責務等に関する規律」について、さらに詳しく解説します。ぜひご覧ください。

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  • 包括遺贈と特定遺贈の違い|判例で解説

    包括遺贈と特定遺贈の違い|判例で解説

    東京地裁平成10年6月26日判決の概要

    この事件では、遺言者が亡くなる前に遺言を残し、妹には特定の不動産を、法人Bにはそれ以外の不動産や書籍・手紙などを贈与する旨を記していました。

    しかし、税務署は法人Bへの遺贈を包括遺贈と判断し、所得税約1億2,000万円の支払い義務を課しました。

    これに対し、法人Bは「特定遺贈である」と主張し裁判を起こしました。

    用語の解説|包括遺贈と特定遺贈

    遺贈とは?

    遺言によって財産を特定の人に与えることを「遺贈」といいます。

    包括遺贈とは?

    民法964条に定められており、「財産の全部」や「〇分の〇」といった割合で遺贈する形式です。相続人に近い立場となり、借金や税金などの義務も引き継ぎます。

    特定遺贈とは?

    「この不動産」や「この預金」など、特定の財産を指定して渡す遺贈です。原則として義務(負債や税金)は引き継ぎません。

    裁判所の判断|包括遺贈と認定された理由

    裁判所は、法人Bへの遺贈を包括遺贈と判断しました。

    遺言内容が「妹に特定の不動産、それ以外すべてを法人Bに渡す」としていたため、包括的な贈与と見なされました。

    学習館の書籍や手紙なども含まれており、遺言者の強い意志が表れていたことも判断材料とされました。

    重要な判例ポイント3つ

    ① 割合が書かれていなくても包括遺贈にあたる

    この判決では、「割合」が書かれていなくても、遺贈の内容が包括的であれば包括遺贈と認められるとしています。

    ② 「すべてを渡す」という文言に注意

    特定の財産を除いた「その他すべて」を渡す表現は、包括遺贈と解釈される可能性があります。特に、動産・不動産を広く含む場合は要注意です。

    ③ 包括遺贈には税金などの義務も伴う

    包括遺贈と判断されると、受遺者(ここでは法人B)は遺言者の所得税などの支払い義務も引き継ぐことになります。

    まとめ|包括遺贈と特定遺贈の違いと実務への影響

    観点内容
    遺贈の種類包括遺贈と特定遺贈に分かれる
    包括遺贈財産全体や割合で承継(義務含む)
    特定遺贈特定の財産のみ(原則、義務なし)
    本件の争点法人Bへの遺贈がどちらか
    判決の考え方割合の記載がなくても包括的なら包括遺贈
    実務上の影響表現次第で大きく税負担が変わる

    おわりに|実務上も重要な判例

    本判例は、遺言の表現方法によって受遺者の負担が大きく変わるという、実務上非常に重要な示唆を含んでいます。包括遺贈と特定遺贈の区別を学ぶうえで、非常に有用な事例といえるでしょう。

    東京地判平成10年6月26日(判時1668号49頁)

  • 包括遺贈と特定遺贈の違いと裁判例解説

    包括遺贈と特定遺贈の違いと裁判例解説

    初学者にも理解しやすいように、「包括遺贈」と「特定遺贈」の違い、そしてそれが争われた裁判例について、できるだけ平易な言葉で丁寧に解説していきます。

    遺贈とは?

    「遺贈」とは、亡くなった人(被相続人)が遺言によって、自分の財産を誰かに与えることをいいます。

    遺贈には、大きく分けて以下の2種類があります:

    包括遺贈(ほうかついぞう)

    財産の全体、または一定の割合(例:2分の1など)を与える遺贈のことです。

    例:「私の財産の全部をAに遺贈する」「私の財産の3分の1をBに遺贈する」

    特定遺贈(とくていいぞう)

    「この土地」「この家」など、特定の財産を指定して与える遺贈です。

    例:「〇〇市の土地をCに遺贈する」

    この裁判の概要

    被相続人が次のような遺言を残しました:

    「遺産の全部をA、B、Cに贈与する。寺と地所、家はCがとる。Cを遺言執行者とする。」

    ここで問題となったのは以下の2点です:

    • この遺言は包括遺贈か?特定遺贈か?
    • 不動産取得税がかかるのか?

    不動産取得税がかかるかどうか

    地方税法第73条の7では、次のように定められています:

    「相続(包括遺贈や相続人への遺贈)による取得には、不動産取得税を課さない」

    つまり、不動産取得税を免除してもらうには、以下のいずれかである必要があります:

    • 包括遺贈であること
    • 相続人に対する遺贈であること

    原審(地裁)の判断:包括遺贈で税金不要

    地裁の判断は以下の通りです:

    • 「遺産の全部をA・B・Cに贈与」とあるため、包括遺贈である
    • 「家はCがとる」は、配分の詳細を示したにすぎない

    → よって、Cは包括受遺者であり、不動産取得税はかからないと判断されました。

    控訴審(高裁)の判断:特定遺贈で課税対象

    一方、控訴審(東京高裁)は次のように判断しました:

    • 「家はCがとる」という記載は、Cに対する特定の財産の遺贈と解釈できる(特定遺贈)
    • 包括受遺者に対して特定遺贈をすることも可能である

    ただし、最初の文(遺産の全部を…)については包括遺贈かどうかの判断を明確にしていません。

    この裁判例の意義と論点整理

    1. 包括遺贈か?特定遺贈か?

    包括遺贈は通常「割合」で示すとされますが、原審は「全部を与える」との意思があれば割合明示がなくても包括遺贈と認めました。

    2. 包括受遺者への特定遺贈は可能か?

    控訴審は「可能」と認定し、そのうえで「家」は特定遺贈と判断しました。

    3. 不動産取得税の取り扱い

    不動産取得税が免除されるのは:

    • 相続(包括遺贈を含む)による取得
    • 相続人への特定遺贈

    → では「包括受遺者に対する特定遺贈」はどうなるのか?明確にはされていません。

    裁判例:
    原審:横浜地裁 平成10年1月28日(未登載)
    控訴審:東京高裁 平成10年9月10日(判タ1071号172頁)

    まとめ

    ポイント内容
    包括遺贈遺産の「全部」や「割合」で与える。相続に近い。税金は原則不要。
    特定遺贈特定の財産(家や土地など)を与える。原則として税金がかかる。
    争点「全部あげる」と記載していても、解釈によって包括遺贈か特定遺贈かが争点に。
    裁判結果地裁は包括遺贈と認定、高裁は特定遺贈と判断。見解が分かれた。
  • 【やさしく解説】包括遺贈と特定遺贈の違いとは?遺言書を書く前に知っておきたいポイント

    【やさしく解説】包括遺贈と特定遺贈の違いとは?遺言書を書く前に知っておきたいポイント

    こんにちは。行政書士の吉村です。
    今回は、遺言書の中でもとても重要な「包括遺贈(ほうかついぞう)」と「特定遺贈(とくていいぞう)」の違いについて、やさしく・わかりやすく解説していきます。

    これを知っておくことで、遺言書を自分で書いてみようという方にも、専門家に依頼する際のイメージづくりにも役立ちます。
    少し難しそうな言葉ですが、実はルールはシンプルなんです。どうぞ最後までお付き合いください。

    包括遺贈とは?

    例:

    • 「私の財産の全部を妻に遺贈する」
    • 「長男に私の財産の3分の1を遺贈する」

    このように、「どれを」とは書かず、「すべて」や「割合」で財産を渡すのが包括遺贈です。
    特徴は、財産全体をまとめて、あるいは◯分の◯という割合で引き継がせる方法であること。

    注意点:
    借金などのマイナスの財産も一緒に引き継がれる点が重要です。

    特定遺贈とは?

    例:

    • 「次男に埼玉県の土地を遺贈する」
    • 「三女に〇〇銀行の預金100万円を遺贈する」

    このように、あげる財産を具体的にピンポイントで指定して渡す方法が特定遺贈です。

    特定遺贈では、プラスの財産だけを相手に渡すことができ、借金などのマイナスの財産はついてきません。

    包括遺贈と特定遺贈の見分け方

    ① 通説(よく使われる考え方)

    ・割合で渡せば包括遺贈、モノを指定すれば特定遺贈。

    • 「遺産の2分の1を遺贈」→ 包括遺贈
    • 「A銀行の預金を遺贈」→ 特定遺贈

    ※ 借金がついてくるのは包括遺贈だけ

    ② 借金の有無で判断する説

    • 借金を含むなら → 包括遺贈
    • 財産だけなら → 特定遺贈

    ③ 折衷説(良いとこどり)

    「割合」も「借金の有無」も両方を考えて判断する柔軟な考え方。

    一部の財産を割合で渡すのはOK?

    例:「長女に甲不動産を相続させる。そのほかの2分の1を長男に遺贈する」

    このような書き方は、遺産全体の割合が曖昧になり、包括遺贈と認められない可能性があります。

    包括遺贈にするには、「遺産全体」に対して割合で指定する必要があります。

    よくあるケースと注意点

    例:「長男には○○銀行の預金を、次男にはその他の一切の財産を遺贈する」

    このような遺言では、「その他の一切の財産」が包括遺贈か特定遺贈かで見解が分かれることがあります。

    • 通説:具体的な財産を渡したあとなので「その他一切」は包括遺贈に当たらない
    • 別の見解:借金も含める意図なら包括遺贈と解釈される可能性あり

    まとめ:包括遺贈と特定遺贈の違い

    比較項目包括遺贈特定遺贈
    内容全体または割合で渡す特定の財産を渡す
    借金も引き継ぐ?はいいいえ
    判定の基準(通説)割合指定具体的な財産指定
    実務上の注意「全体」の割合で書く必要あり金額やモノを具体的に書く

    専門家からひとこと

    「包括遺贈と特定遺贈の違いなんて、遺言書にそんなに大事なの?」と思われるかもしれませんが、この違いが“相続トラブル”の大きな火種になることもあります。

    実際に、「言葉の使い方ひとつ」で遺言の効力が変わってしまい、せっかくの想いがうまく伝わらなかったというケースもあります。

    自分でも書けそう、でもやっぱりちょっと不安。そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。
    ご本人の想いを、確実に、法律的にも安心できる形で伝えるお手伝いをいたします。

    お気軽にご相談ください。
    ご家族を想う、そんなお気持ちを大切に、誠実にサポートいたします。

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  • 包括遺贈と特定遺贈の違いとは?

    包括遺贈と特定遺贈の違いとは?

    遺言の内容を考えるうえで、「包括遺贈」と「特定遺贈」という言葉を耳にすることがあります。これらはどちらも遺言によって財産を人に渡す方法ですが、法的な意味や取り扱いに大きな違いがあります。

    ここでは、民法の条文に基づきながら、実務上も重要なポイントを整理し、初めての方でも理解しやすいように説明します。

    包括遺贈と特定遺贈の違い

    包括遺贈:たとえば「財産の3分の1を○○さんに遺贈する」といったように、全体の割合で指定されるものです。民法第990条では「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と定められています。

    特定遺贈:たとえば「○○市の土地を△△さんに渡す」というように、特定の財産を指定して行うものです。

    この違いにより、法律上や税務上での取り扱いにも差が生じます。

    遺贈を放棄する際の手続きの違い

    包括遺贈の場合

    贈与の事実を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に「放棄の申述」をしなければなりません(相続放棄と同様の手続き)。一部放棄はできず、全体を受け取るか放棄するかの選択となります。

    特定遺贈の場合

    放棄はいつでも可能で、家庭裁判所の手続きも不要です。部分的な放棄も可能です。

    借金や負債の扱い

    包括遺贈では、遺産の中に借金などのマイナスの財産があれば、それも一定割合で引き継ぐ可能性があります。一方、特定遺贈では指定された財産のみを受け取るため、借金を負うことはありません。

    ただし、形式上は特定遺贈でも実質的に包括遺贈と判断される場合、放棄期限を過ぎると負債を引き継ぐおそれがあります。

    農地を遺贈する場合の注意点

    農地を遺贈する場合、農地法の規制に注意が必要です。

    • 包括遺贈の場合:農業委員会の許可は不要
    • 特定遺贈の場合:原則として許可が必要。許可が下りないと無効

    不動産取得税の違い

    不動産の遺贈により発生する税金にも違いがあります。

    • 包括遺贈:原則として非課税(法定相続人への遺贈含む)
    • 特定遺贈:課税対象(固定資産評価額の約4%)

    形式の違いが税務署の判断に影響することもあります。

    換価遺言と譲渡所得税

    「不動産を売却して現金を渡す」といった遺言は「換価遺言」と呼ばれます。この場合、不動産の売却は相続人が行うため、譲渡所得税は相続人が負担することになります。

    換価金をもらえない相続人が税だけを負担するという事態も生じ得るため、遺言作成時には慎重な検討が必要です。

    包括遺贈と特定遺贈の比較表

    比較項目包括遺贈特定遺贈
    内容遺産全体の一定割合など指定された特定の財産
    放棄の手続き家庭裁判所に3か月以内の申述が必要いつでも可能。家庭裁判所の手続き不要
    一部放棄不可(すべて放棄か受け取りか)可能(不要な物のみ放棄できる)
    借金の引継ぎあり(相続人と同様)なし(プラスの財産のみ)
    農地の承継許可不要必要
    不動産取得税非課税課税される(評価額の約4%)
    換価遺言の税負担相続人が譲渡所得税を負担

    まとめと注意点

    包括遺贈と特定遺贈は、見た目には似ていても法律的な効果や手続き、税金の取り扱いに大きな違いがあります。

    遺言を作成する側も、受け取る側も、それぞれの違いを正しく理解したうえで判断することが重要です。

    不明点があれば、民法の条文に即した解説もいたします。行政書士として、正確な理解をお手伝いします。

    ※本記事は一般的な解説であり、特定の法律相談を目的としたものではありません。具体的な案件については、専門家にご相談ください。

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  • 包括遺贈と特定遺贈の違いをわかりやすく解説

    包括遺贈と特定遺贈の違いをわかりやすく解説

    はじめに:なぜ「遺贈」が注目されているのか?

    近年、「遺贈(いぞう)」という言葉を耳にする機会が増えています。背景には、高齢化や単身世帯の増加など、家族構成の変化があります。

    たとえば、法定相続人がいない方が亡くなった場合、その方の財産は最終的に国に引き取られる(これを「国庫に帰属」といいます)ことになります。実際、2019年度には全国で約603億円もの財産が国庫に帰属しました。

    これは、必ずしも故人の望んだ形ではなかったかもしれません。そんなときに活用できるのが「遺言による遺贈」です。遺贈を使えば、家族以外のお世話になった方や団体(NPO法人・病院・施設など)に自分の財産を託すことができます。

    民法964条:遺贈には2つのタイプがある

    民法第964条では、遺贈について次のように規定されています。

    遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

    この条文にあるように、遺贈には以下の2つの形式があります。

    • 包括遺贈(ほうかついぞう)
    • 特定遺贈(とくていいぞう)

    包括遺贈とは?

    内容

    財産の全部や割合を指定して贈る方法です。

    例:「私の全財産をAに遺贈する。」

    特徴

    • 遺産の割合(例:「2分の1」)を指定する場合にも使われます。
    • プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。
    • 相続人に近い立場となり、遺言執行者がいなくても一部手続きが可能です。

    メリット・デメリット

    メリットデメリット
    財産を包括的に一括で託せる借金も一緒に引き継ぐ可能性がある

    特定遺贈とは?

    内容

    特定の財産を指定して贈る方法です。

    例:「〇〇銀行の預金1000万円をBに遺贈する。」

    特徴

    • 土地・建物・預金など、具体的な財産を対象にしています。
    • 借金などのマイナスの財産は原則として引き継がれません。
    • 不動産などを遺贈する場合、遺言執行者が必要なケースが多くなります。

    メリット・デメリット

    メリットデメリット
    借金を引き継がなくてよい手続きが複雑になりやすい(遺言執行者が必要)

    注意点:包括遺贈と特定遺贈を曖昧にすると?

    たとえば、「財産の一部をAに贈る」とだけ書いてしまうと、それが「割合」の意味なのか「特定の財産」なのかで、受け取る側や遺族の間で解釈が分かれてしまう可能性があります。

    また、包括遺贈だと認識せずに財産を受け取ったら、思わぬ借金がついていた…というケースも実際にあります。

    こうしたトラブルを防ぐためにも、遺言の記載はできるだけ具体的かつ明確にしておくことが重要です。

    まとめ:安心して遺贈するために

    • 「包括遺贈」か「特定遺贈」かをはっきり書く
    • 「割合」なのか「具体的な財産」なのかを明示する
    • 不安があれば法律の専門家に相談する(弁護士・行政書士など)

    【文例】

    包括遺贈の文例:
    「私のすべての財産を、Aに包括的に遺贈する。」

    特定遺贈の文例:
    「私が所有する〇〇銀行の預金(口座番号:XXXX)を、Bに遺贈する。」

    最後に

    「遺贈」は、ご自身の思いを最も確実なかたちで後世に伝える手段の一つです。しっかりと仕組みを理解し、正確な表現で遺言書を作成することが、望んだ相手に確実に財産を届ける第一歩となります。

    ご不明な点がある場合は、専門家へご相談ください。丁寧に、わかりやすくサポートいたします。

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  • 【埼玉県の建設業者必見】入札に参加するなら「格付け」が必要です!

    【埼玉県の建設業者必見】入札に参加するなら「格付け」が必要です!

    こんにちは、行政書士の吉村です。
    今回は、建設業者さんからよくご相談いただく「埼玉県の建設工事入札における格付制度」について、実務的な手順とポイントをわかりやすくご説明します。

    「うちは公共工事にチャレンジしたいけど、まず何をすればいいの?」
    「格付けって聞いたことあるけど、どうやって決まるの?」

    そんな疑問をお持ちの方、ぜひ最後までお読みください。この記事を読めば、格付制度のしくみから申請の流れ、注意点まで一通り理解できますよ。

    ■ そもそも「格付け」ってなに?

    埼玉県では、建設工事の競争入札に参加するために、業者ごとに「格付け(ランク付け)」を行っています。
    この格付けは、経営状況や技術力などを点数化して、どの規模・種類の工事に参加できるかを決める大切な制度です。

    言い換えると、「この会社なら、これくらいの公共工事を任せられる」という客観的な判断基準。
    入札のスタートラインに立つための、まさに「チケット」とも言えるでしょう。

    ■ 格付けの申請はこう進めます(4ステップ)

    ステップ1:まず制度の目的を理解しましょう

    格付けは、埼玉県が定める入札制度の一環。
    その根拠は「埼玉県建設工事請負等競争入札参加者の資格等に関する規程」第8条にあります。

    県が定めた評価基準に基づいて業者をランク分けすることで、適切な事業者が適正な工事を受注できる仕組みを作っているのです。

    ステップ2:評価される3つの要素を押さえる

    格付けの評価は、以下の3つの要素で構成されます。

    • 資格審査数値(=経審点数)
    • 技術者数
    • 県独自の格付基準

    とくに、資格審査数値と技術者数は、日ごろの会社の体制や努力がそのまま反映されるため、しっかり準備しておく必要があります。

    ステップ3:資格審査数値の内訳を知ろう

    この点数は、国土交通省が定める「経営事項審査(経審)」をベースにしています。

    評価される主なポイントは以下のとおり:

    • 完成工事高などの 経営規模
    • 自己資本比率などの 経営状況
    • 技術職員の数などの 技術力
    • 法令遵守や社会保険加入状況といった 社会性

    これらは数値化され、最終的に総合的なスコアとして反映されます。

    ステップ4:工事成績評価点も見逃せない

    埼玉県内に「本店」がある業者さんは、県からの評価(=工事成績評価点)も加味されます。
    この点数は、過去2年度に県発注工事を履行した際の評価結果に基づきます。

    例えば、平均90点以上なら130点が加算されるなど、工事の質が高いほど有利に働きます。

    ■ よくある質問にお答えします!

    Q:うちは埼玉県に営業所があるけど、評価対象になりますか?

    A: 本店(主たる営業所)が埼玉県内にあれば、「県内業者」として評価対象になります。

    Q:経営事項審査ってどこで受けるの?

    A: 都道府県や国の地方整備局に申請して受審します。行政書士が手続き代行できます。

    Q:過去に県の工事をやっていないと点数つきませんか?

    A: 工事成績評価点は付きませんが、経審の点数で格付けはされます。

    Q:官公需適格組合に入っていると有利? A: はい、構成員の合算で評価されるため、小規模事業者でも有利になることがあります。

    Q:経常JVって何?

    A: 複数業者が連携して工事を受ける共同体で、実績が少ない業者でも大規模案件に参加しやすくなります。

    ■ 行政書士からの実務アドバイス

    • 経審には有効期限(1年)があります。更新漏れに注意!
    • 技術者の数は常に最新の台帳に反映を。
    • 工事成績評価を上げるためにも、日頃の施工・報告・安全管理に磨きをかけましょう。

    ■ まとめ:格付けは入札のスタートライン!

    「格付けって難しそう…」と思われたかもしれませんが、しっかり準備すれば確実に前に進めます。
    とはいえ、経審の申請や評価点の管理には専門的な知識と書類作成のノウハウが必要です。

    「まずは一歩踏み出したい」「しっかり整えてチャレンジしたい」
    そんな建設業者さまのお力になります。お気軽にご相談ください。


    公共工事への第一歩、いっしょに踏み出しましょう。

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