こんにちは、行政書士の吉村です。
今回は、建設業者さんからよくご相談いただく「埼玉県の建設工事入札における格付制度」について、実務的な手順とポイントをわかりやすくご説明します。
「うちは公共工事にチャレンジしたいけど、まず何をすればいいの?」
「格付けって聞いたことあるけど、どうやって決まるの?」
そんな疑問をお持ちの方、ぜひ最後までお読みください。この記事を読めば、格付制度のしくみから申請の流れ、注意点まで一通り理解できますよ。
■ そもそも「格付け」ってなに?
埼玉県では、建設工事の競争入札に参加するために、業者ごとに「格付け(ランク付け)」を行っています。
この格付けは、経営状況や技術力などを点数化して、どの規模・種類の工事に参加できるかを決める大切な制度です。
言い換えると、「この会社なら、これくらいの公共工事を任せられる」という客観的な判断基準。
入札のスタートラインに立つための、まさに「チケット」とも言えるでしょう。
■ 格付けの申請はこう進めます(4ステップ)
ステップ1:まず制度の目的を理解しましょう
格付けは、埼玉県が定める入札制度の一環。
その根拠は「埼玉県建設工事請負等競争入札参加者の資格等に関する規程」第8条にあります。
県が定めた評価基準に基づいて業者をランク分けすることで、適切な事業者が適正な工事を受注できる仕組みを作っているのです。
ステップ2:評価される3つの要素を押さえる
格付けの評価は、以下の3つの要素で構成されます。
- 資格審査数値(=経審点数)
- 技術者数
- 県独自の格付基準
とくに、資格審査数値と技術者数は、日ごろの会社の体制や努力がそのまま反映されるため、しっかり準備しておく必要があります。
ステップ3:資格審査数値の内訳を知ろう
この点数は、国土交通省が定める「経営事項審査(経審)」をベースにしています。
評価される主なポイントは以下のとおり:
- 完成工事高などの 経営規模
- 自己資本比率などの 経営状況
- 技術職員の数などの 技術力
- 法令遵守や社会保険加入状況といった 社会性
これらは数値化され、最終的に総合的なスコアとして反映されます。
ステップ4:工事成績評価点も見逃せない
埼玉県内に「本店」がある業者さんは、県からの評価(=工事成績評価点)も加味されます。
この点数は、過去2年度に県発注工事を履行した際の評価結果に基づきます。
例えば、平均90点以上なら130点が加算されるなど、工事の質が高いほど有利に働きます。
■ よくある質問にお答えします!
Q:うちは埼玉県に営業所があるけど、評価対象になりますか?
A: 本店(主たる営業所)が埼玉県内にあれば、「県内業者」として評価対象になります。
Q:経営事項審査ってどこで受けるの?
A: 都道府県や国の地方整備局に申請して受審します。行政書士が手続き代行できます。
Q:過去に県の工事をやっていないと点数つきませんか?
A: 工事成績評価点は付きませんが、経審の点数で格付けはされます。
Q:官公需適格組合に入っていると有利? A: はい、構成員の合算で評価されるため、小規模事業者でも有利になることがあります。
Q:経常JVって何?
A: 複数業者が連携して工事を受ける共同体で、実績が少ない業者でも大規模案件に参加しやすくなります。
■ 行政書士からの実務アドバイス
- 経審には有効期限(1年)があります。更新漏れに注意!
- 技術者の数は常に最新の台帳に反映を。
- 工事成績評価を上げるためにも、日頃の施工・報告・安全管理に磨きをかけましょう。
■ まとめ:格付けは入札のスタートライン!
「格付けって難しそう…」と思われたかもしれませんが、しっかり準備すれば確実に前に進めます。
とはいえ、経審の申請や評価点の管理には専門的な知識と書類作成のノウハウが必要です。
「まずは一歩踏み出したい」「しっかり整えてチャレンジしたい」
そんな建設業者さまのお力になります。お気軽にご相談ください。
公共工事への第一歩、いっしょに踏み出しましょう。
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