高齢化が進む中、「身寄りがない」「頼れる家族がいない」という方から、成年後見制度に関するご相談が年々増えています。
その中でも特に多いのが、次のような疑問です。
「成年後見人がいれば、病院や施設の保証人は不要なのでは?」
一見もっともらしく聞こえますが、この考え方は“半分正解で、半分間違い”です。
誤解したまま手続きを進めると、入院や施設入居の場面で思わぬトラブルになることもあります。
この記事では、行政書士の立場から、
- 後見人と保証人の違い
- なぜ後見人は保証人になれないのか
- 実務上、どう備えるのが正解なのか
を、一般の方にもわかりやすく解説します。
そもそも「保証人」とは何をする人?
病院や高齢者施設で求められる「身元保証人(保証人)」には、法律で明確に定義された役割があるわけではありません。
しかし、実務上は次のような役割を期待されています。
- 入院費・施設利用料が支払えない場合の金銭的保証
- 緊急時の連絡先
- 退院・退所時の身柄引き取り
- 死亡時の遺体・遺品の引き取りや手続き
つまり保証人とは、本人とは別の「第三者」として責任を負う存在です。
成年後見人の役割とは?保証人とはまったく違います
成年後見人(法定後見人・任意後見人)は、本人に代わって、
- 財産を管理する
- 契約などの法律行為を代理する
ための存在です。法律上は、「本人と同じ立場」で行動します。
ここが非常に重要なポイントです。
保証人は「本人とは別の第三者」でなければならない一方、後見人は「本人の代理人」。
この立場の違いが、後見人が保証人になれない最大の理由です。
なぜ後見人は保証人になれないのか【4つの理由】
① 本人と同じ立場だから(論理的に矛盾する)
後見人が保証人になるということは、
「本人が、自分自身の保証をする」のと同じ意味になります。
これは法律的にも、論理的にも成り立ちません。
② 利益相反行為になるため
後見人が保証人になると、
- 支払いを請求する立場(保証人)
- 支払いを判断・管理する立場(本人代理)
を、同一人物が兼ねることになります。
これは利益相反行為として、法律上認められていません。
③ 後見人は「自分のお金」で支払う義務はない
後見人の役割は、あくまで本人の財産の中から支払いを行うことです。
後見人自身の財産で立て替えたり、責任を負ったりする義務はありません。
④ 死後の対応ができない
病院や施設が保証人に期待する役割には、
- 死亡時の手続き
- 遺品整理
- 未払い費用の精算
などが含まれます。
しかし成年後見契約は、本人が亡くなると終了します。
そのため、後見人は原則として死後の事務を行うことができません。
それでも「後見人がいれば大丈夫」と言われる理由
ここで混乱が生じやすいのですが、厚生労働省は次のような考え方を示しています。
「身元保証人がいないことだけを理由に、入院や入所を拒否してはならない」
後見人がいれば、
- 本人の財産から確実に支払いが行われる
- 契約手続きが適切に行われる
- 連絡・調整役が明確になる
という点で、実務上の不安は大きく軽減されるのは事実です。
ただしそれは、「後見人=保証人」という意味ではありません。
本当に安心するために必要な備えとは?
「後見人がいれば安心」と思っていた方ほど、事前の備えが重要です。
特に身寄りのない方・おひとりさまの場合は、
- 任意後見契約
- 事務委任契約(財産管理)
- 死後事務委任契約
を組み合わせて準備することで、入院・施設入居・死亡後まで一貫したサポートが可能になります。
行政書士に相談するメリット
これらの契約は、単体で作ればよいものではなく、
ご本人の状況・財産・将来の希望に合わせて設計することが重要です。
行政書士は、
- 任意後見契約
- 事務委任契約
- 死後事務委任契約
- 遺言書
をトータルで整理し、将来のトラブルを未然に防ぐお手伝いができます。
まとめ|「後見人がいれば保証人はいらない」は誤解です
- 後見人は保証人にはなれない
- 保証人がいなくても入院・入所は可能なケースがある
- 本当の安心には契約の組み合わせが必要
「まだ元気だから大丈夫」と思っている今こそが、実は一番の準備どきです。
将来に不安を感じたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
あなたに合った最適な備えを、一緒に考えます。
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