投稿者: 行政書士吉村

  • 後見人がいれば保証人はいらない?行政書士が誤解を解説

    後見人がいれば保証人はいらない?行政書士が誤解を解説

    高齢化が進む中、「身寄りがない」「頼れる家族がいない」という方から、成年後見制度に関するご相談が年々増えています。
    その中でも特に多いのが、次のような疑問です。

    「成年後見人がいれば、病院や施設の保証人は不要なのでは?」

    一見もっともらしく聞こえますが、この考え方は“半分正解で、半分間違い”です。
    誤解したまま手続きを進めると、入院や施設入居の場面で思わぬトラブルになることもあります。

    この記事では、行政書士の立場から、

    • 後見人と保証人の違い
    • なぜ後見人は保証人になれないのか
    • 実務上、どう備えるのが正解なのか

    を、一般の方にもわかりやすく解説します。


    そもそも「保証人」とは何をする人?

    病院や高齢者施設で求められる「身元保証人(保証人)」には、法律で明確に定義された役割があるわけではありません。
    しかし、実務上は次のような役割を期待されています。

    • 入院費・施設利用料が支払えない場合の金銭的保証
    • 緊急時の連絡先
    • 退院・退所時の身柄引き取り
    • 死亡時の遺体・遺品の引き取りや手続き

    つまり保証人とは、本人とは別の「第三者」として責任を負う存在です。


    成年後見人の役割とは?保証人とはまったく違います

    成年後見人(法定後見人・任意後見人)は、本人に代わって、

    • 財産を管理する
    • 契約などの法律行為を代理する

    ための存在です。法律上は、「本人と同じ立場」で行動します。

    ここが非常に重要なポイントです。

    保証人は「本人とは別の第三者」でなければならない一方、後見人は「本人の代理人」。
    この立場の違いが、後見人が保証人になれない最大の理由です。


    なぜ後見人は保証人になれないのか【4つの理由】

    ① 本人と同じ立場だから(論理的に矛盾する)

    後見人が保証人になるということは、
    「本人が、自分自身の保証をする」のと同じ意味になります。

    これは法律的にも、論理的にも成り立ちません。

    ② 利益相反行為になるため

    後見人が保証人になると、

    • 支払いを請求する立場(保証人)
    • 支払いを判断・管理する立場(本人代理)

    を、同一人物が兼ねることになります。
    これは利益相反行為として、法律上認められていません。

    ③ 後見人は「自分のお金」で支払う義務はない

    後見人の役割は、あくまで本人の財産の中から支払いを行うことです。
    後見人自身の財産で立て替えたり、責任を負ったりする義務はありません。

    ④ 死後の対応ができない

    病院や施設が保証人に期待する役割には、

    • 死亡時の手続き
    • 遺品整理
    • 未払い費用の精算

    などが含まれます。
    しかし成年後見契約は、本人が亡くなると終了します。

    そのため、後見人は原則として死後の事務を行うことができません。


    それでも「後見人がいれば大丈夫」と言われる理由

    ここで混乱が生じやすいのですが、厚生労働省は次のような考え方を示しています。

    「身元保証人がいないことだけを理由に、入院や入所を拒否してはならない」

    後見人がいれば、

    • 本人の財産から確実に支払いが行われる
    • 契約手続きが適切に行われる
    • 連絡・調整役が明確になる

    という点で、実務上の不安は大きく軽減されるのは事実です。

    ただしそれは、「後見人=保証人」という意味ではありません。


    本当に安心するために必要な備えとは?

    「後見人がいれば安心」と思っていた方ほど、事前の備えが重要です。

    特に身寄りのない方・おひとりさまの場合は、

    • 任意後見契約
    • 事務委任契約(財産管理)
    • 死後事務委任契約

    組み合わせて準備することで、入院・施設入居・死亡後まで一貫したサポートが可能になります。


    行政書士に相談するメリット

    これらの契約は、単体で作ればよいものではなく、
    ご本人の状況・財産・将来の希望に合わせて設計することが重要です。

    行政書士は、

    • 任意後見契約
    • 事務委任契約
    • 死後事務委任契約
    • 遺言書

    をトータルで整理し、将来のトラブルを未然に防ぐお手伝いができます。


    まとめ|「後見人がいれば保証人はいらない」は誤解です

    • 後見人は保証人にはなれない
    • 保証人がいなくても入院・入所は可能なケースがある
    • 本当の安心には契約の組み合わせが必要

    「まだ元気だから大丈夫」と思っている今こそが、実は一番の準備どきです。

    将来に不安を感じたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
    あなたに合った最適な備えを、一緒に考えます。

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  • フリーランス保護法と何が違う?中小受託取引適正化法(取適法)との違いをわかりやすく整理

    フリーランス保護法と何が違う?中小受託取引適正化法(取適法)との違いをわかりやすく整理

    近年、日本の企業間取引をめぐる法規制は大きな転換期を迎えています。

    2024年11月に施行された「フリーランス保護法」に続き、2026年(令和8年)1月1日からは、従来の下請法を抜本的に見直した「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」が施行されます。

    いずれも「取引の公正化」を目的とする法律ですが、守ろうとしている相手・規制の考え方・企業に求められる対応には明確な違いがあります。

    本記事では、フリーランス保護法と取適法の違いを整理し、発注側企業・中小事業者が実務上注意すべきポイントを行政書士の視点で解説します。


    1.最大の違いは「誰を守る法律か」──対象範囲の整理

    まず押さえておきたいのが、保護の対象となる事業者の違いです。

    フリーランス保護法の対象

    フリーランス保護法は、主に以下のような立場の事業者を対象としています。

    • 従業員を雇用していない個人事業主
    • 実質的に一人で事業を行う一人法人

    いわば、組織に属さず、交渉力が弱くなりがちな「個人の働き手」を守るための法律です。

    中小受託取引適正化法(取適法)の対象

    一方、取適法の対象はより広く、中小事業者全般に及びます。

    今回の法改正では、従来の「資本金基準」に加え、新たに「従業員数」による基準が導入されました。

    例えば、製造委託などの取引では、従業員300人以下の事業者が受託側として保護対象になるケースがあります。

    つまり、

    • フリーランス保護法:弱い立場にある「個人」の保護
    • 取適法:個人から中小企業まで含めた「事業者間取引全体の公正化」

    を目的としている点が、大きな違いです。


    2.「何のための法律か」が違う──理念と目的の違い

    両法律は似て見えても、その根底にある考え方は異なります。

    フリーランス保護法の理念

    フリーランス保護法は、

    • フリーランスが安心して働ける環境を整える
    • 不利益な取扱いや不透明な契約から守る

    ことを主眼とした法律です。 「働く個人の権利保護」という色合いが強いのが特徴です。

    取適法が目指すもの

    これに対して取適法は、単なる下請法の延長ではありません。

    法律の理念として掲げられているのは、

    • 元請・下請という上下関係の是正
    • 対等なパートナーシップの構築

    企業同士が一方的に支配・従属する関係ではなく、公正で持続可能な取引関係を築くことを目的としています。


    3.2026年施行の取適法で追加される厳しい新ルール

    取適法では、フリーランス保護法には見られない、あるいはより踏み込んだ規制が導入されます。

    一方的な価格決定の禁止

    受託者が原材料費や人件費の上昇などを理由に価格協議を求めたにもかかわらず

    • 協議自体を拒否する
    • 十分な説明なく価格を据え置く

    といった対応は、原則として禁止されます。

    60日以内の全額現金払いの義務化

    納品後60日以内に、全額を現金で受け取れる支払いが義務化されます。

    これにより、

    • 手形払い
    • 割引料が発生するファクタリング
    • 満額を受け取れない電子記録債権

    などは、実質的に禁止されることになります。

    特定運送委託取引も新たに対象に

    荷主が運送事業者に直接委託する特定運送委託も、取適法の規制対象に追加されました。

    物流・運送業界にとっても、極めて重要な法改正です。


    4.企業が今から進めるべき実務対応

    これら複数の法規制に対応するため、発注側企業には早期の実務対応が求められます。

    ① 取引先の再点検

    取引先が

    • フリーランス保護法の対象なのか
    • 取適法の「中小受託事業者」に該当するのか

    を正確に把握する必要があります。

    ② 契約書・支払条件の見直し

    契約書については、

    • 法律名・用語の更新
    • 手形払い条項の削除
    • 支払期日の明確化

    など、最新の法令に適合させることが不可欠です。

    ③ 交渉プロセスの「見える化」

    口頭発注や曖昧な合意を避け、

    • 書面・メールによる発注
    • 価格交渉の経緯を記録・保存

    する体制づくりが重要になります。


    まとめ|取引ルールの変化は「リスク」ではなく「信頼構築のチャンス」

    企業にとっては負担増と感じる面もありますが、見方を変えれば、取引先との信頼関係を深め、長期的なパートナーシップを築く好機でもあります。

    取適法対応や契約書の見直しに不安がある場合は、行政書士など専門家に早めに相談することをおすすめします。

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  • 資本金だけで判断するのは危険新設「従業員数基準」で自社が取適法の対象か確認を

    資本金だけで判断するのは危険新設「従業員数基準」で自社が取適法の対象か確認を

    2026年(令和8年)1月1日、日本の商取引における重要なルールである「下請法」は、「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」へと名称・内容ともに大きく改正されます。

    今回の改正で、特に多くの企業が注意すべきポイントが、法の適用範囲を判断する基準として「従業員数」が新設されたことです。

    これまで「うちは資本金基準に該当しないから大丈夫」「下請法は大企業だけの話」と考えていた事業者様でも、新法では思いがけず“委託事業者”としての義務を負う可能性があります。

    本記事では、行政書士の立場から、取適法における従業員数基準の考え方と実務への影響を、できるだけわかりやすく解説します。


    なぜ「資本金」だけで判断するのは不十分なのか

    従来の下請法では、親事業者・下請事業者の区分は、原則として「資本金の額」によって判断されていました。

    しかし近年では、

    • 資本金は小さいが、従業員数が多い企業
    • 外注・業務委託を多用し、取引上の影響力が大きい企業

    といったケースが増え、資本金だけでは取引実態を正しく反映できないという問題が指摘されてきました。

    そこで新たに制定される取適法では、「元請・下請という力関係の是正」「対等なパートナーシップの構築」を理念に掲げ、資本金に加えて「常時使用する従業員数」が判断基準として導入されています。

    つまり、見た目の規模ではなく、実態に即した取引関係を重視する法律へと変わったのです。


    新設された「従業員数基準」の具体的な内容

    取適法では、委託する業務内容に応じて、適用基準が次の2つの区分に分かれています。

    ① 物品の製造・修理・特定運送・特定の情報成果物・役務

    (特定の情報成果物・役務:プログラム作成、運送、倉庫保管、情報処理など)

    • 委託事業者(発注側):従業員数 300人超
    • 中小受託事業者(受注側):従業員数 300人以下

    ※または、従来どおり資本金基準(3億円超・3億円以下など)に該当する場合

    ② 上記以外の情報成果物作成・役務提供

    • 委託事業者(発注側):従業員数 100人超
    • 中小受託事業者(受注側):従業員数 100人以下

    ※または、従来の資本金基準(1億円超・1億円以下など)に該当する場合

    ここで非常に重要なのが、「資本金」か「従業員数」のどちらか一方でも基準を満たせば、法律の対象になるという点です。

    たとえば、資本金が小さくても従業員が301人以上いる企業が、従業員100人の企業に製造を委託する場合、取適法が適用される可能性があります。


    「特定運送委託」の追加で一般企業にも影響が

    従業員数基準の新設とあわせて見逃せないのが、「特定運送委託」が新たに規制対象となった点です。

    これは、荷主が運送事業者に直接運送を委託する取引を指し、物流業界で問題となってきた

    • 長時間待機
    • 無償での附帯作業

    などを是正する目的があります。

    この改正により、運送業者ではない一般企業であっても、従業員数基準に照らして「委託事業者」としての義務を負うケースが増えることになります。


    施行までに企業が行うべき「3つの再点検」

    2026年1月の施行に向け、企業には早急な実務対応が求められます。

    ① 取引先の総点検

    自社の資本金だけでなく、常時使用する従業員数を正確に把握し、あわせて取引先(受託者)の規模も確認する必要があります。

    ② 契約書・社内規程の見直し

    法律名が「中小受託取引適正化法」に変更されるため、契約書の表記修正が必要です。

    あわせて、

    • 手形払いの廃止
    • 価格協議に関する条項の明確化

    など、最新の法令に適合した内容へ見直すことが重要です。

    ③ 社内体制・運用ルールの整備

    従業員数基準により新たに「委託事業者」となる場合、

    • 注文書の交付義務
    • 価格交渉・協議記録の保存

    といった義務が発生します。

    口頭発注の見直しや社内マニュアルの整備など、実務レベルでの対応が不可欠です。


    まとめ|「知らなかった」では済まされない改正です

    「中小受託取引適正化法」への移行は、単なる名称変更ではありません。

    取引の適用範囲を実態に即して大きく広げる重要な法改正であり、従来の下請法では想定していなかった企業も対象となります。

    これまで禁止されていた

    • 代金の減額
    • 買いたたき

    などは引き続き厳禁であることに加え、誠実な価格交渉プロセス60日以内の現金払いが、これまで以上に強く求められます。

    「自社は対象になるのか分からない」「契約書をどう直せばよいか不安」

    そのような場合は、取適法対応を含めた取引法務に精通した行政書士へ早めに相談することが、将来のリスク回避につながります。

    当事務所では、取適法に関する適用判断・契約書チェック・社内体制整備のご相談を承っております。

    どうぞお気軽にお問い合わせください。

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  • 取適法で手形払いは禁止?60日以内「全額現金払い」が企業実務に与える影響

    取適法で手形払いは禁止?60日以内「全額現金払い」が企業実務に与える影響

    2026年(令和8年)1月1日、日本の企業間取引における支払い慣行が大きな転換点を迎えます。
    同日施行される「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」により、これまで広く使われてきた手形払いが、実務上ほぼ不可能となるためです。

    特に注目すべきなのが、「納品・役務提供完了から60日以内に、全額を現金で支払う義務」です。

    本記事では、取適法の中でも影響が大きいこの支払いルールに焦点を当て、企業が直面する実務上の変化と、今から準備すべき対応策を行政書士の視点でわかりやすく解説します。


    1.「60日以内・全額現金化」が意味するものとは

    取適法では、委託事業者(発注側)に対し、次のような支払いを義務付けています。

    「納品または役務提供の完了日から60日以内に、手数料などを差し引かれることなく、全額を現金で受け取れる支払い」

    これは単に「支払期限を守りましょう」という話ではありません。 支払い方法そのものが厳しく制限される点が、今回の法改正の最大の特徴です。

    事実上、禁止される支払い方法

    • 手形払い
      支払期日が長い手形は、60日以内に現金化できないため原則不可となります。
    • 電子記録債権(でんさい)
      手形と同様、期日まで満額を受け取れない仕組みは認められません。
    • 割引料を伴うファクタリング
      受託者側が割引料(手数料)を負担して早期現金化する方式は、「全額現金化」に反するため禁止対象となります。

    これまで「支払いは手形が当たり前」と考えてきた企業にとっては、資金繰り(キャッシュフロー)の抜本的な見直しが避けられません。


    2.なぜ今、ここまで厳しいルールが導入されるのか

    今回の取適法は、単なる下請保護を目的とした法律ではありません。 背景にあるのは、「対等なパートナーとしての企業間取引を実現する」という考え方です。

    従来の下請法では、立場の強い発注側が支払いを遅らせたり、事実上の金利負担を下請事業者に押し付けたりするケースが後を絶ちませんでした。

    そこで新法では、納品から2か月以内に、確実に・満額の現金を受け取れる環境を制度として整備し、中小事業者が安心して事業を継続できる基盤づくりを目指しています。

    つまり、取適法は「企業間取引の公正化」を本気で実現するための法律なのです。


    3.支払いルール以外にも広がる実務への影響

    取適法の影響は、支払い方法の変更だけにとどまりません。 企業実務全体を見直す必要があります。

    ① 価格交渉における説明責任の明確化

    原材料費や人件費の高騰などを理由に、受託者が価格協議を求めた場合、 発注側は理由を説明せずに価格据え置きを強要したり、協議自体を拒否することが禁止されます。

    ② 適用対象の拡大

    • 従来の資本金基準に加え、従業員数基準が新たに導入
    • 荷主が運送事業者に直接依頼する「特定運送委託」も新たに規制対象

    「うちは下請法の対象外だったから大丈夫」という認識は、通用しなくなる可能性があります。

    ③ 監視・執行体制の強化

    公正取引委員会に加え、各業界の主務大臣にも指導・助言権限が付与され、 違反に対するチェック体制はこれまで以上に厳しくなります。


    4.施行までに企業が取り組むべき3つの実務ステップ

    2026年1月の施行に向け、委託事業者(発注側)は早めの対応が不可欠です。

    ① 資金管理体制の再構築

    手形払いから現金払いへ移行した場合のキャッシュフローをシミュレーションし、 必要に応じて資金調達方法の見直しを行いましょう。

    ② 契約書・社内規程の改定

    法律名の変更に合わせ、以下の点を確認・修正する必要があります。

    • 手形払い条項の削除
    • 支払期限・支払方法の明確化
    • 価格協議に関する条項の追加

    契約書の未整備は、トラブルや行政指導の原因になりかねません。

    ③ 社内意識と運用の見直し

    口頭発注を改め、書面や電子データで交渉記録を残す体制を整えましょう。 また、振込手数料を受託者に負担させている場合は、将来的な規制も見据えた見直しが必要です。


    資金が巡る健全な取引関係へ

    取適法による「現金化の迅速化」は、ビジネスにおける血液(資金)の流れを正常化するための制度改革といえます。

    手形という「後回しの約束」ではなく、現金という「確かな対価」を速やかに循環させることは、 サプライチェーン全体の体力を高め、結果的に発注側企業の信用力向上にもつながります。

    2026年1月は、古い商慣習から脱却し、公正な取引を実現する新しいスタートラインです。 「まだ先の話」ではなく、「今から準備する」ことが、企業を守る最大のポイントとなります。

    取適法対応や契約書整備でお悩みの際は、行政書士へ早めにご相談ください。

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  • 「下請法」が消える日|2026年施行・新「取適法」をわかりやすく解説

    「下請法」が消える日|2026年施行・新「取適法」をわかりやすく解説

    2026年(令和8年)1月1日、日本の企業間取引を支えてきた法律が大きく生まれ変わります。
    長年親しまれてきた「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」は廃止され、代わって新たに

    「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」
    (略称:中小受託取引適正化法/通称:取適法)

    が施行されます。

    この改正は、単なる法律名の変更ではありません。
    「元請・下請」という固定的な上下関係を前提とした考え方そのものを見直し、企業同士が対等な立場で取引するという、実務に直結する大きな転換点です。

    本記事では、行政書士の視点から、新「取適法」がどのような法律なのか、
    どの企業に影響があり、何を準備すべきかを、できるだけわかりやすく解説します。


    1.なぜ「取適法」が生まれたのか|企業間取引の考え方が変わる

    従来の下請法は、「親事業者による不公正な行為を防止する」ことを主な目的としていました。
    しかし実務の現場では、

    • 価格交渉に応じてもらえない
    • 支払方法が複雑で資金繰りが不安定になる
    • 立場の弱さから声を上げにくい

    といった問題が根強く残っていました。

    そこで新法では、「弱い立場を守る」という発想から一歩進み、
    公正で透明性のある取引関係を社会全体で作ることが明確に打ち出されています。

    なお、2024年11月施行のフリーランス保護法が「個人」を主に対象としているのに対し、
    取適法は資本金・従業員数に応じた中小事業者全般を対象とする点が大きな特徴です。


    2.取引実務を変える「3つの重要ポイント」

    ① 価格交渉と支払いルールの厳格化

    新法で特に注目されているのが、「価格交渉のプロセス」と「支払方法」です。

    ● 一方的な価格決定の禁止

    受託側から、原材料費・人件費・物流費などの上昇を理由に価格協議を申し出た場合、
    委託側は誠実に協議する義務を負います。

    単に「今回は無理です」と結論だけを伝えるのではなく、
    なぜその判断に至ったのか、説明と交渉の記録が重要になります。

    ● 現金払いの原則化

    納品から60日以内に、全額を現金化できる方法で支払うことが義務化されます。

    • 手形払い
    • 割引料が差し引かれる電子記録債権
    • 実質的に満額受け取れないファクタリング

    これらは、実務上「現金に近い」と思われがちですが、
    新法では原則として認められません

    ● 遅延利息の拡充

    代金の支払い遅延だけでなく、
    不当な減額を行った場合にも遅延利息が発生する点は要注意です。


    ② 適用対象の拡大|「うちは関係ない」が通用しない

    取適法では、適用範囲が大きく広がります。

    ● 従業員数基準の新設

    これまでの下請法は、主に「資本金」で判断されていました。
    新法ではこれに加えて、従業員数も判断基準となります。

    「資本金が小さいから対象外」と思っていた企業でも、
    実は規制対象になる可能性があります。

    ● 運送委託も新たに対象

    荷主が運送事業者に直接依頼する「特定運送委託」も規制対象となります。

    長時間待機や無償作業といった、物流業界の課題是正が狙いです。


    ③ 執行体制の強化|チェックはより厳しく

    取適法では、

    • 公正取引委員会
    • 中小企業庁
    • 各業界の主務大臣

    が連携し、指導・助言・報告受付を行います。

    「知らなかった」「今まで通りやっていた」では済まされない体制へと変わります。


    3.2026年までにやるべき実務対応とは

    発注者(委託事業者)側の対応

    1. 取引先の再点検(従業員数・運送委託の有無)
    2. 契約書の見直し(法律名変更、手形条項削除、価格協議条項の明記)
    3. 社内体制整備(口頭発注の廃止、交渉記録の保存)

    受注者(中小事業者)側の対応

    原価資料や市場データをもとに、根拠ある価格交渉を行うことが重要です。

    トラブル時には、「取引かけこみ寺(旧:下請かけこみ寺)」などの相談窓口も積極的に活用しましょう。


    まとめ|取引の「OSアップデート」が始まる

    2026年1月1日、新しい取引の時代が始まります。
    契約書や社内ルールの整備は、早めに取り組むことで大きな安心につながります。

    取適法対応や契約書見直しに不安がある場合は、
    企業法務に強い行政書士へ早めにご相談ください。

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  • 配偶者居住権の落とし穴とは?後悔しないための注意点を行政書士が解説

    配偶者居住権の落とし穴とは?後悔しないための注意点を行政書士が解説

    「配偶者居住権って、夫が亡くなってもこの家に住み続けられる制度なんですよね?」
    相続のご相談を受けていると、このようなご質問をいただくことがよくあります。

    たしかに配偶者居住権は、高齢の配偶者が住み慣れた自宅で安心して暮らし続けられるように、2020年に新しく設けられた制度です。

    とても意義のある制度で、「これがあれば安心」と感じる方も多いでしょう。

    しかし実際には、「良かれと思って選んだのに、後になって困ってしまった」というケースがあるのも事実です。

    制度の特徴や制限を十分に理解しないまま利用すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。

    この記事では、相続実務の現場でよく見かける配偶者居住権の注意点・落とし穴について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

    配偶者居住権は「住める」けれど「自由ではない」

    まず、配偶者居住権についてぜひ押さえておいていただきたい大切なポイントがあります。

    配偶者居住権は、あくまで「住むための権利」です。つまり、

    • その家に住み続けることはできる
    • しかし、自分の判断で家を売ることはできない
    • 第三者に貸すことも原則できない

    という性質があります。

    「自分が長年住んできた家なのだから、将来必要になれば売れるはず」
    そう思い込んでいると、ここで大きなギャップに気づくことになります。

    落とし穴① 老人ホームの資金を確保できない

    実際によくあるのが、次のようなケースです。

    「元気なうちは自宅で暮らし、将来は老人ホームに入る予定」
    このように考えている方はとても多いのではないでしょうか。

    その場合、自宅を売却して入居一時金や生活費に充てるという計画を立てていることも少なくありません。

    ところが、配偶者居住権を設定すると、配偶者本人には家を売る権限がありません。家の所有者は、子どもなど別の相続人になるからです。

    結果として、
    「もう住まない家があるのに、売ることができない」
    という身動きの取れない状況に陥ってしまうことがあります。

    落とし穴② 途中でやめると贈与税がかかることも

    「それなら、必要になったときに配偶者居住権を放棄すればいいのでは?」
    そう考える方もいらっしゃるかもしれません。

    しかし、ここにも注意点があります。

    配偶者居住権を存続期間の途中で放棄すると、
    家の所有者に対して“経済的利益を贈与した”とみなされる場合があります。

    その結果、贈与税が課税される可能性が出てくるのです。

    「家族間なのに税金がかかるの?」
    と驚かれる方も多く、後から知ってショックを受けるポイントのひとつです。

    落とし穴③ 家族関係がぎくしゃくすることも

    配偶者居住権は、

    • 配偶者:家に住む権利
    • 子どもなど:家を所有する権利

    というように、権利を分け合う制度です。

    制度設計や話し合いが十分であれば問題ありませんが、現実には、

    • 修繕費は誰が負担するのか
    • 将来この家をどうするのか
    • 空き家になった場合の管理はどうするのか

    といった点で、意見が食い違うことがあります。

    制度そのものは良くても、家族間の合意が不十分だとトラブルの原因になりやすいのが実情です。

    落とし穴④ 「節税になる」という思い込み

    配偶者居住権は、二次相続(配偶者が亡くなった後の相続)で相続税が軽くなる可能性がある制度です。

    ただし、その効果は、

    • 財産の内容
    • 配偶者の年齢
    • 家族構成

    などによって大きく左右されます。

    「節税になると聞いたから」
    という理由だけで選択すると、思ったほど効果が出なかったり、かえって不便を感じたりすることもあります。

    それでも配偶者居住権が向いている方

    ここまで落とし穴をお伝えしましたが、配偶者居住権が「使えない制度」というわけでは決してありません。

    たとえば、次のような方にはとても相性の良い制度です。

    • 最期まで自宅で暮らしたいと考えている
    • 家を売る予定がない
    • 子どもとの関係が良好で話し合いができる
    • 二次相続まで見据えた相続設計をしたい

    このような条件がそろえば、配偶者居住権は大きな安心を与えてくれます。

    まとめ:大切なのは「わが家の場合どうか」

    配偶者居住権は、
    安心をもたらす制度である一方、自由を制限する側面もある制度です。

    「良さそうだから」
    「勧められたから」
    という理由だけで決めるのではなく、

    • 将来の暮らし方
    • お金の使い道
    • 家族との関係

    まで含めて、「わが家の場合どうか」を考えることが何より大切です。

    相続制度は、知っているだけでは十分とは言えません。
    正しく理解し、使い方を間違えないことが重要です。

    この記事が、配偶者居住権について後悔しない選択をするためのヒントになれば幸いです。
    具体的なケースに当てはめて検討したい場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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  • 配偶者居住権とは?夫が亡くなっても自宅に住み続ける制度を行政書士が解説

    配偶者居住権とは?夫が亡くなっても自宅に住み続ける制度を行政書士が解説

    相続の話というと、
    「財産はいくら残るのか」「誰がどれだけもらうのか」
    といったお金の話に目が向きがちです。

    しかし、実際に多くの方が心の奥で不安に感じているのは、こんなことではないでしょうか。

    「もし夫が先に亡くなったら、私はこの家に住み続けられるのだろうか?」

    長年暮らしてきた自宅を離れる不安は、想像以上に大きなものです。


    今日は、そんな不安を和らげてくれる制度である「配偶者居住権」について、行政書士の立場から、できるだけわかりやすく解説します。


    配偶者居住権とは?

    配偶者居住権とは、簡単に言うと、

    配偶者が亡くなったあとも、残された配偶者がその自宅に住み続けられる権利

    のことです。

    2020年(令和2年)の民法改正によって新しく設けられた制度で、
    主に高齢の配偶者の住まいと生活の安定を守ることを目的としています。


    これまでの相続では、何が問題だったのか?

    従来の相続では、自宅については次のような極端にシンプルな扱いしかありませんでした。

    • 家を相続すれば、住み続けられる
    • 家を相続しなければ、住めない

    その結果、次のような悩みが生じるケースが少なくありませんでした。

    • 自宅を相続すると、預貯金など他の財産がほとんどもらえない
    • 生活資金を確保しようとすると、自宅を手放さなければならない

    つまり、
    「住む場所」か「生活資金」か、どちらかをあきらめる
    という選択を迫られることが多かったのです。


    配偶者居住権の最大のポイントは「家の分け方」

    配偶者居住権の最大の特徴は、
    自宅を「2つの権利」に分けて考える点にあります。

    • 配偶者:住み続ける権利(配偶者居住権)
    • 子どもなどの相続人:家の所有権

    このように分けることで、

    • 配偶者は、亡くなるまで安心して自宅に住める
    • 子どもは、将来的に家を取得できる

    という、双方に配慮した相続が可能になります。


    家賃は必要?お金を払わなくても住めるの?

    結論から言うと、原則として家賃は不要です。

    配偶者居住権は無償で認められるため、
    毎月家賃を支払う必要はありません。

    これまでと同じ自宅で、同じ生活を続けられる点は、
    高齢の配偶者にとって非常に大きな安心材料と言えるでしょう。


    どれくらいの期間、住み続けられるの?

    配偶者居住権の存続期間は、次のように定められています。

    • 原則:終身(配偶者が亡くなるまで)
    • 例外:10年、20年など、期間を定めることも可能

    特に期間を決めなければ、
    「亡くなるまで住める権利」として扱われます。


    注意点|自由に使えるわけではありません

    ここで、必ず知っておいていただきたい重要な注意点があります。

    配偶者居住権は、

    • 住むことはできる
    • 売ることはできない
    • 原則として第三者に貸すこともできない

    という性質の権利です。

    あくまで「住むための権利」であり、
    自由に処分できる財産ではありません。

    この点を理解せずに利用すると、
    思わぬトラブルにつながる可能性もあります。


    配偶者居住権は、どんな方に向いている制度?

    配偶者居住権は、特に次のような方に向いています。

    • 高齢で、今さら住み替えは現実的ではない
    • 最期まで今の家で暮らしたい
    • 相続をきっかけに、子どもと揉めたくない

    こうした思いをお持ちの方にとって、
    配偶者居住権は非常に心強い制度です。


    まとめ|配偶者居住権は「暮らし」を守るための制度

    配偶者居住権は、

    「家をもらう制度」ではなく、「住み続ける安心を確保する制度」

    です。

    相続は、単なる財産分けの話ではありません。
    住まいが守られるかどうかは、老後の安心に直結します。

    もし少しでも、
    「うちの場合はどうなるのだろう?」
    と感じた方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

    行政書士として、制度の説明だけでなく、
    ご家庭ごとの事情に合わせた相続の考え方をご提案することが可能です。
    どうぞお気軽にご相談ください。

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  • 原価割れ契約が受注者も禁止に?建設業者が守るべき新規制

    原価割れ契約が受注者も禁止に?建設業者が守るべき新規制

    行政書士の吉村です。
    2025年に全面施行される改正建設業法(建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正)は、建設業界の“これまでの常識”を大きく変える内容を含んでいます。

    その中でも特に重要なのが、「原価割れ契約の禁止が、受注者(建設業者)側にも義務付けられたこと」です。

    これまでの建設業法では、「発注者→受注者」に対する不当な低価格強要を主に規制していました。しかし今回の改正では、建設業者自身が通常必要な原価を下回る総価で契約を結ぶことが、コンプライアンス違反として明確化されました。

    本記事では、この改正の背景と、建設業者が今すぐ着手すべき「適正な原価計算」「見積ルール整備」のポイントを行政書士の立場から分かりやすく解説します。

    1. なぜ受注者側の原価割れ契約が禁止されたのか

    (1) 最大の目的は「労務費へのしわ寄せ防止」

    建設業界では、就業者の減少・高齢化が深刻化しており、担い手確保は国全体の最重要課題となっています。近年、国が推進している「新4K」(給与がよい、休日が取れる、希望がもてる、カッコイイ)というコンセプトも、その流れの一つです。

    しかし、請負代金が不当に低い場合、負担は最終的に労務費の圧迫として現れます。
    適切な賃金を支払えなければ、技術者は離職し、人材不足に拍車がかかります。

    今回の改正は、低廉な契約を建設業者自らが選択してしまうことによる、労働者への悪影響を防ぐ目的で導入されたものです。

    (2) 従来の規制との違い

    従来の建設業法でも、発注者が著しく低い労務費での見積変更を迫る行為は禁止されていました。しかし今回の改正では、

    「通常必要な原価を下回る総価での契約」を建設業者自身にも禁止
    という新たな規制が追加されました。

    つまり、適正な価格で契約を結ぶのは発注者の責務であると同時に、受注者の責務でもあるという構造へ変わったのです。

    2. 見落としがちな「通常必要な原価」とは

    今回禁止されるのは、「通常必要な原価を下回る総価での契約」です。では、その原価には何が含まれるのでしょうか。

    一般に建設工事の価格は、材料費・労務費・経費などで構成されますが、とくに以下の必要経費を確保できない契約は、原価割れと判断されるリスクが高まります。

    費用項目概要
    労務費技能労働者の賃金原資
    法定福利費健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など事業主負担分
    安全衛生経費安全対策・保護具等の費用
    建退共掛金建設業退職金共済制度の掛金

    とくに法定福利費や安全衛生経費が確保できない総価契約は、法違反と判断される可能性が高くなります。

    ただし、「低廉な資材を保有している」など合理的理由がある場合は除外されます。

    3. 建設業者が今すぐ取り組むべき具体的対策

    改正法は2025年12月12日に完全施行されます。準備期間は限られています。

    (1) 適正な原価計算体制を整備する

    「なんとなくこの金額で受注しよう」は通用しません。
    すべての工事で、以下を明確に把握する必要があります。

    • 法定福利費
    • 安全衛生経費
    • 標準的な労務費

    特に労務費については、中央建設業審議会が示す「標準労務費」が行政指導の参考指標になります。これを下回る単価設定は「不適正」と判断される可能性が高いため、必ず自社の見積と照らし合わせて確認しましょう。

    (2) 社内規定・見積ルールの見直し

    原価割れ契約の禁止は、受注者のコンプライアンスに直結します。

    • 見積書作成の社内ルール化(労務費・法定福利費の算出方法)
    • 工期設定の判断基準の明文化
    • 内訳明示の徹底(元請・下請いずれでも必須)

    とくに内訳明示は、適正な価格交渉の出発点です。

    (3) 違反時は行政指導の対象に

    受注者側が原価割れ契約を結んだ場合も、国土交通大臣等による指導・監督の対象となります。

    短期的に見れば、「とにかく受注して現場を動かす」ことで売上を確保したくなるかもしれません。ですが、コンプライアンス違反は信用を失墜し、許可維持・事業継続に重大な影響を及ぼします。

    まとめ|持続可能な経営こそ最大の防御策

    今回の「原価割れ契約の禁止」は、建設業者が自らの価値を守り、働く人を守り、業界全体の持続性を高めるための重要な規制です。

    適正原価の把握 → 適正価格での契約 → 適正な賃金の支払い

    この流れを企業として確実に実施することが、将来にわたり信頼される建設業者として生き残る唯一の道です。

    改正建設業法への対応や、社内の見積ルール整備・コンプライアンス体制構築についてお悩みの方は、建設業法務に精通した行政書士がサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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  • 【2025年施行予定】 建設業法等の改正ポイントを行政書士がわかりやすく解説

    【2025年施行予定】 建設業法等の改正ポイントを行政書士がわかりやすく解説

    2025年中に施行が予定されている建設業法等の改正について、建設業者のみなさまから
    「何が変わるのか」「どんな手続きが必要になるのか」「注意すべき点はどこか」など、お問い合わせを多くいただいております。

    今回の法改正は、建設業界が抱える以下の課題に真正面から取り組む重要なものです。

    • 担い手不足が深刻化している
    • 賃金水準が他業種と比べ低い傾向にある
    • 長時間労働が常態化している
    • 資材価格高騰により現場の労務費が圧迫されている

    この改正は建設業の持続可能な産業化を目指すもので、国が掲げる「新4K」 (給与がよい・休日が取れる・希望がもてる・カッコイイ)の実現に向け、以下の3つの柱を中心に進められています。

    1. 改正の三つの柱と目的

    1. 労働者の処遇改善
    2. 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
    3. 働き方改革と生産性の向上

    2. 各柱における具体的な改正内容

    (1)労働者の処遇改善

    • 労務費の適正確保を建設業者の努力義務として明文化
      労働者の知識・技能を公正に評価し、適正な賃金を確保する取組を行うことが求められます。国はその取組状況を調査・公表します。
    • 標準労務費(労務費の基準)の作成・勧告
      中央建設業審議会が作成し、契約交渉や行政指導の参考指標として活用されます。
    • 著しく低い見積りの提出や発注者による変更要求は禁止
      違反した発注者は国土交通大臣による勧告・公表の対象となります。
      ※対象となる請負金額の下限:500万円(建築一式工事は1,500万円)
    • 原価割れ契約の禁止
      通常必要な原価を下回る請負契約の締結は禁止されます。

    (2)資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

    • リスク情報(おそれ情報)の通知義務化
      資材価格の急騰など、契約内容に影響が出る可能性のある情報は、契約締結前に受注者が通知しなければなりません。
    • 請負代金等の変更方法を契約書に明記することが義務化
    • 誠実な協議の努力義務化
      契約後に価格変動などが発生した場合、注文者は協議に誠実に応じなければなりません。
    • 契約変更を認めない条項の禁止

    (3)働き方改革と生産性向上

    • 工期ダンピングの禁止
      著しく短い工期での請負契約の締結を禁止し、長時間労働の抑止を図ります。
    • 工期変更協議の円滑化
    • 現場技術者の専任義務の合理化(複数現場兼任の容認)
      ICTを活用し、以下の条件を満たす場合、兼任が可能に。
      ・現場間の移動が1日で可能、かつ概ね2時間以内
      ・下請け階層が3次まで
      ・ICTによる施工体制確認が実施されている
    • ICTによる現場管理の効率化
      CCUS活用等により、施工体制台帳写しの提出不要となる場合があります。

    (4)特定建設業許可等の金額要件 引き上げ(2025年2月施行)

    項目改正前改正後
    特定建設業許可が必要な下請金額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)
    監理技術者の専任が必要な工事4,000万円以上(建築一式8,000万円以上)4,500万円以上(建築一式9,000万円以上)
    施工体制台帳の作成義務4,500万円以上5,000万円以上

    3. 法改正の実効性確保に向けた国の取り組み

    • 建設Gメンによる現場調査の強化
    • 標準労務費運用方針の公表予定(2024年12月上旬)
    • 公共工事設計労務単価の引き上げ(令和7年3月 適用分)
      全職種平均 前年比+6.0%、13年連続上昇

    今回の法改正を例えるなら、建設業界という大きな乗り物のエンジン(賃金・労働環境)を強化し、ハンドル(契約・工期)を安定化し、ナビ(ICT化)を最新化するものです。


    これにより業界全体が「新4K」の目的地へ向かって進んでいくことが期待されています。


    建設業許可の更新・変更手続きはお任せください

    今回の法改正により、許可区分や技術者配置の確認、契約書様式の見直しなど、建設業者様に求められる対応は多岐にわたります。


    法改正に関するご相談や、建設業許可の新規取得・更新・変更・経審・入札参加登録などの手続きは、ぜひ当事務所へご相談ください。

    初回相談無料/オンライン相談対応
    お気軽にお問い合わせください。

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  • 改葬許可証の取得手続きと必要書類|行政書士が詳しく解説

    改葬許可証の取得手続きと必要書類|行政書士が詳しく解説

    近年、「お墓の引越し(改葬)」をご希望されるご家庭が増えています。


    遠方の墓地の管理が難しい場合や、跡継ぎがいない場合、または新しい納骨堂へ移したい場合など、 さまざまな理由で改葬手続きを行う必要が生じます。

    しかし、実際に改葬を行う際には、市区町村への行政手続きが必須であり、改葬許可証を取得しなければ改葬は認められません。

    本記事では、改葬許可証の取得に必要な書類・手続きの流れ・注意点について、行政書士が分かりやすく解説します。

    改葬とは?改葬許可証が必要な理由

    改葬とは、埋葬した遺骨を別の墓地・納骨堂へ移動することを指します。


    この改葬(お墓の移転)に際しては法律に基づき、市区町村長の許可を得る必要があります。

    改葬許可証の法的根拠

    項目根拠となる法律内容
    許可の義務墓地、埋葬等に関する法律 第5条第1項改葬を行う者は、市区町村長の許可が必要
    許可証の交付同法 第8条許可時に「改葬許可証」を交付する
    管理者の義務同法 第14条許可証を提示しなければ埋蔵・収蔵できない
    罰則同法 第21条無許可改葬は罰金等の罰則の対象

    改葬許可証がなければ、墓じまいや遺骨の取り出し、移転工事すら進めることができません。


    そのため、事前準備と正確な手続きが非常に重要です。

    改葬許可証を取得するために必要な書類

    改葬許可証の交付には、主に次の3つの書類を準備し、遺骨がある市区町村役場へ提出します。

    ① 改葬許可申請書

    • 自治体へ改葬を申請するための書類
    • 役所窓口または自治体ホームページで入手可能
    • 1体につき1枚記載が原則(自治体により異なる場合あり)
    • 記載内容:死亡者の情報、改葬理由、新しい納骨先、申請者情報など

    ② 受入証明書(改葬受入証明書等)

    • 新しい納骨先が遺骨を受け入れることを証明する書類
    • 新しい墓地・霊園管理者が発行
    • 名称例:受入証明書/永代使用許可証/使用承諾書 等

    ③ 埋葬証明書

    • 現在の墓地に遺骨が納骨されていることの証明
    • 多くの場合、改葬許可申請書内の管理者署名欄で兼用
    • 墓地管理者によっては発行手数料が必要な場合あり

    必要に応じて提出する書類

    • 改葬承諾書…申請者と墓地使用者が異なる場合
    • 委任状…代理申請する場合
    • 戸籍謄本…死亡日と続柄確認が必要な場合

    改葬許可証取得までの具体的な手続きの流れ

    ステップ内容担当
    1新しい納骨先を決定し、受入証明書を取得新しい墓地管理者
    2役所で改葬許可申請書を入手・記入申請者
    3現在の墓地管理者から埋葬証明を取得現墓地管理者
    4必要に応じ承諾書・委任状を準備関係者
    5役所へ書類一式を提出し、改葬許可証を申請市区町村役場

    交付期間と費用の目安

    • 交付期間:3日~1週間程度(自治体・休日による)
    • 費用:無料~300円程度
    • 例:横浜市は手数料無料

    改葬許可証取得後の流れ

    • 現在の墓地管理者へ許可証を提示し、遺骨の取り出し(閉眼供養等)を実施
    • 納骨先で許可証を提出し、埋蔵・収蔵を行う

    改葬手続きは専門家への相談も可能です

    改葬手続きは、ご自身で行うことも可能ですが、
    親族間の合意形成や寺院・霊園との調整、書類作成が必要になるため、思った以上に時間と労力がかかるケースが少なくありません。

    「手続きが不安」「葬祭関係者や寺院との調整をお願いしたい」という場合は、行政書士へご相談いただくことでスムーズに進められます。

    改葬許可証の申請についてお困りの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。


    初回相談・お見積りは無料で承っております。

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