いつもお世話になっております。
行政書士吉村事務所の吉村です。
建設会社の皆様にとって、公共工事の受注に欠かせないのが「経営事項審査(経審)」ですよね。その経審の評価を左右する重要な要素の一つが「自己資本」です。
この度、国土交通省より、負債として計上されている借入金の一部を「自己資本」とみなすことができる新たな制度、「資本性借入金」に関する事務取扱いが発表されました。
今回はこの制度の内容と、経審への具体的な影響を分かりやすく解説いたします。
資本性借入金とは?
資本性借入金とは、一定の条件を満たした借入金を「自己資本」として扱うことができる制度です。
2025年7月1日以降の経審申請から適用され、対象は審査基準日が2025年3月31日以降の決算、かつ単独決算で申請する企業に限られます。
経審での評価向上ポイント
自己資本が増加してP点アップ
建設会社が公共工事を受注するためには、経審での評価点(P点)が重要です。自己資本は経営安定性を示す重要指標で、以下の項目に影響します。
- 負債回転期間:負債減少により改善
- 自己資本対固定資産比率:自己資本増により改善
- 自己資本比率:自己資本増により改善
- X₂₁自己資本:評価点向上
これにより、経営状況分析のY点が向上し、結果として総合評定値(P点)アップが期待できます。
資本性借入金と認められる要件
以下のすべての要件を満たす借入金が対象となります:
- 金融機関(政府系含む)からの借入であること
例:日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」など - 償還期間が5年超
- 期限一括償還(または同等の据置期間)
- 配当可能利益に応じた金利(業績連動型)
- 法的破綻時の劣後性の確保
注意点: 残存期間が5年未満になると、自己資本として認められる金額は毎年20%ずつ逓減します。
経審申請における具体的手続き
① 証明書の取得
公認会計士・税理士・建設業経理士1級などの資格者から「資本性借入金」の証明書を取得(国土交通省様式)。
② 経営状況分析時の提出
- 経営状況分析申請書に「資本性借入金 ○○○円」と記載
- 証明書の写し・契約書の写しを添付
- 証明者が建設業経理士の場合は合格証・修了証も添付
③ 経営規模等評価時の提出
- 「自己資本額」の欄に資本性借入金を加算した額を記載
- 再度、証明書の写しを添付
まとめ:活用すれば経審に有利!
この「資本性借入金」制度は、経審における自己資本評価の大幅な改善につながる可能性があります。
まずは、貴社の借入契約がこの要件に該当するかを確認してみてください。
ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。貴社の経審評価向上を全力でサポートいたします。
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