カテゴリー: 建設業

  • 附帯工事とは?建設業許可が不要な場合も解説

    附帯工事とは?建設業許可が不要な場合も解説

    建設業を営むには原則「建設業許可」が必要ですが、すべての工事に許可が必要なわけではありません。「軽微な工事」や「附帯工事」のように、一定の条件を満たせば許可不要で施工できるケースもあります。

    今回は「附帯工事」について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

    附帯工事とは?

    附帯工事とは、主たる工事に必要な補助的な工事のことを指します。建設業の許可制度では、原則として各工事ごとに専門の許可が必要ですが、実際の現場では複数の工種が連携して行われることが一般的です。

    そのため、主たる工事を完成させるうえで必要な範囲であれば、他の許可がない業種の工事も施工が認められる仕組みが「附帯工事」です。

    附帯工事の具体例

    ① 主たる工事の施工に必要な他の工事

    例:石工事業者が石垣を作る際に、基礎の掘削やコンクリート打設を行う場合。

    これらは石垣工事に附帯する工事として、石工事業者が行っても許可違反にはなりません。

    ② 独立して使えず、主たる工事に組み込まれている工事

    例:管工事業者が冷暖房配管を行う際に、壁のはつり、断熱材の巻き付け、内装復旧を伴う場合。

    これらはすべて主たる配管工事の一部として「附帯工事」と見なされます。

    附帯工事に該当するかの判断基準

    • 主たる工事にとって必要不可欠な作業か
    • 一連の工事として実施するのが合理的か
    • 工事発注者にとっての利便性
    • 業界慣行として通常行われているか

    注意:工事金額の大小は判断基準にはなりません。金額が大きくても附帯性があれば認められます。

    附帯工事に関する注意点

    附帯工事は許可なしで施工できるとはいえ、自由ではありません。特に500万円(税込)以上になる場合は次の対応が必要です。

    • 該当工種の許可を持つ業者に外注する
    • 主任技術者を配置して自社で施工する

    これらを怠ると、無許可営業とみなされる可能性があります。

    まとめ|附帯工事を正しく理解してリスクを回避

    附帯工事とは、主たる工事を完成させるために必要な工事を、他業種の許可なしで行える仕組みです。柔軟な対応が可能となる一方、判断を誤ると法的リスクに発展します。

    附帯工事かどうかの判断に迷う場合や、500万円を超える案件については、行政書士などの専門家に相談するのが安心です。

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  • 【建設業許可申請とは?】取得の基本と手続き解説

    【建設業許可申請とは?】取得の基本と手続き解説

    こんにちは、行政書士の吉村です。
    今回は、建設業を営む方にとって避けて通れない「建設業許可申請」について、分かりやすくご説明いたします。

    なぜ今、建設業許可が必要なのか?

    近年、企業のコンプライアンス(法令遵守)が重視される中で、建設業界では元請会社や金融機関から、下請業者にも建設業許可を求める動きが広がっています。

    現場によっては、許可がなければ現場に入れないケースもあり、建設業許可は“信頼の証”としての意味を持つようになっています。

    建設業許可とは?

    建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負うために、国または都道府県の許可を受ける制度です。これは「建設業法」で定められています。

    軽微な工事には許可が不要

    500万円未満の工事など「軽微な工事」については許可が不要ですが、実務的には取得するメリットが大きいため、許可を取る事業者が増えています。

    建設業許可の種類

    ① 大臣許可と知事許可

    • 大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所がある場合
    • 知事許可:1つの都道府県内に営業所がある場合

    ② 一般建設業と特定建設業

    • 特定建設業:下請に4,000万円以上(建築一式は6,000万円以上)を発注する元請業者
    • 一般建設業:上記以外の建設業者

    ③ 29種類の業種区分

    建設業許可は業種ごとに29種類あり、必要な業種を選んで取得する仕組みです。例:「電気工事業」「管工事業」「土木一式工事業」など。

    許可を取得するための5つの条件

    1. 経営業務の管理責任者が常勤でいること
    2. 専任技術者が営業所ごとに常勤でいること
    3. 請負契約に関して誠実性があること
    4. 履行可能な財産的基礎または金銭的信用があること
    5. 欠格要件に該当しないこと

    一見ハードルが高く見えますが、条件を確認すれば対応できるケースも多くあります。

    許可取得後に必要な手続き

    許可は取得して終わりではありません。以下のような継続的な手続きが必要です。

    • 5年ごとの更新手続き
    • 役員変更・本店移転などの「変更届」
    • 事業廃止時の「廃業届」

    行政書士に依頼するメリット

    建設業許可の申請には、書類作成や証明資料の収集、役所対応などの手間が発生します。

    専門家に依頼することで、不備による差し戻しや要件の誤解を防ぎ、スムーズに申請を進めることができます。

    私の事務所では、申請だけでなく更新・変更手続きまでトータルサポートを行っています。お気軽にご相談ください。

    まとめ

    • 建設業許可は一定規模以上の工事に必要な「信用の証」
    • 種類は「大臣許可/知事許可」「一般/特定」など
    • 取得には5つの要件を満たす必要あり
    • 取得後も更新・変更など継続的な管理が必要
    • 行政書士への依頼で負担を軽減し、確実な取得が可能

    「許可、うちも取ってみようかな」「でも、自分でできるか不安だな…」
    そんなときは、ぜひご相談ください。
    経験豊富な行政書士が、あなたの建設業の発展を全力でサポートいたします!

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  • 建築士事務所登録とは?手続きと注意点を解説

    建築士事務所登録とは?手続きと注意点を解説

    こんにちは、行政書士の吉村です。

    今回は、建築士の方やこれから建築士事務所を開設しようとお考えの方向けに、「建築士事務所登録」についてわかりやすく解説します。

    建築士事務所登録とは?

    建築士として独立する場合や、会社として建築設計業務を行う場合には、建築士法に基づいて都道府県に「建築士事務所登録」を行う必要があります。

    登録をせずに業務を行うと、法律違反となり罰則の対象になりますので注意が必要です。

    登録が必要な人

    建築士、または建築士を雇って設計・工事監理を報酬を得て行う場合は登録が必須です。

    登録の有効期間は5年間で、5年ごとの更新が必要です。複数の事務所がある場合は、各都道府県で登録が必要です。

    管理建築士とは?

    事務所には「管理建築士」を1名以上、専任で配置する必要があります。これは事務所の技術的責任者となる重要な役割です。

    管理建築士の要件

    • 事務所に専任(常勤)していること
    • 建築士として3年以上の実務経験があること
    • 「管理建築士講習」を修了していること

    たとえば、他社でフルタイム勤務している場合や、遠方で通勤が困難な場合は「専任」とは認められないことがあります。

    登録が拒否されるケース

    登録には「登録拒否事由」があり、以下の場合は登録が認められません。

    • 破産して復権していない
    • 一定の前科がある
    • 建築士法違反で処罰歴がある
    • 暴力団関係者

    また、申請書類に虚偽や重大な記載漏れがあると、登録が拒否される可能性があります。

    登録手続きの流れ(東京都の場合)

    東京都では「東京都建築士事務所協会」が窓口です。以下の書類が必要となります。

    • 登録申請書
    • 業務の概要書
    • 管理建築士講習修了証の写し
    • 誓約書(拒否事由に該当しない旨)
    • 略歴書
    • 法人の場合:定款、登記事項証明書

    事務所の使用権限を証明する資料など、追加書類が求められることもあります。

    手数料と登録後の手続き

    登録手数料(東京都の場合):

    • 一級建築士事務所:18,500円
    • 二級・木造建築士事務所:13,500円

    登録後は、所在地変更や管理建築士の交代があった場合、必ず「変更届」を提出する必要があります。また、5年ごとの更新も忘れずに行いましょう。

    登録手続きが大変だと感じたら

    「法律を読みながら書類を準備するのは大変…」という方も多いかと思います。建築士事務所登録は、法的根拠に基づいた重要な手続きです。不備があれば再提出や登録拒否の可能性もあります。

    当事務所では、登録のサポートを多数行っておりますので、安心してご相談ください。

    まとめ

    建築士事務所登録は、建築業務をスタートするうえで欠かせない手続きです。必要な条件を理解し、確実に準備を整えて臨むことが重要です。

    ご自身で挑戦される方も、専門家のサポートを受けたい方も、お気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です!

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  • 【解説】専任技術者の実務要件が緩和?経験年数が足りない方もチャンス!

    【解説】専任技術者の実務要件が緩和?経験年数が足りない方もチャンス!

    こんにちは。行政書士の吉村です。
    今回は、建設業許可における「専任技術者」の実務経験について、経験年数が足りない方にもチャンスが広がる“緩和措置”について、わかりやすく解説します。

    「実務経験が10年に届かない…」
    「複数業種を経験してきたが、どう評価されるの?」
    そんな方にこそ、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

    専任技術者とは?

    建設業の許可を取る際には、営業所ごとに「専任技術者」を配置する必要があります。
    この専任技術者になるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります:

    • 一定の学歴(+所定の実務経験)
    • 資格(1級・2級施工管理技士など)
    • 実務経験10年以上(原則)

    ここで問題になるのが、実務経験10年のハードルです。
    しかも、2業種で許可を取りたい場合は20年分の経験が必要となるのが原則です。

    しかし!
    建設業では「工事業種間の関連性」を考慮し、一部の工事業種について、実務経験年数が短くても専任技術者として認められる緩和措置が設けられているのです。

    実務経験の緩和措置とは?

    複数の工事業種にまたがって経験を積んでいる場合、その組み合わせ次第で、10年に満たない経験でも専任技術者になれることがあります。
    以下に代表的な緩和パターンをご紹介します。

    1. 一式工事と専門工事の振替

    「土木一式工事」または「建築一式工事」の経験年数と、他の専門工事業種(とび・土工、内装仕上など)との合算で条件を満たす場合があります。

    2. 土木工事業との組み合わせ

    以下の4業種のいずれかで8年以上の経験があり、さらに土木工事業とあわせて12年以上の経験がある場合、その業種で専任技術者として認められます。

    • ① とび・土工工事業
    • ② しゅんせつ工事業
    • ③ 水道施設工事業
    • ④ 解体工事業

    例:
    とび・土工工事業で8年6か月、土木工事業で4年の経験があれば→合計12年6か月。
    とび・土工工事業で専任技術者として認められます。

    3. 建築工事業との組み合わせ

    以下の7業種のうち、どれかで8年以上の経験があり、建築工事業とあわせて12年以上あればOKです。

    • ① 大工工事業
    • ② 屋根工事業
    • ③ 内装仕上工事業
    • ④ ガラス工事業
    • ⑤ 防水工事業
    • ⑥ 熱絶縁工事業
    • ⑦ 解体工事業

    例:
    大工工事業で9年2か月、建築工事業で5年の経験→合計14年2か月。
    大工工事業で専任技術者として認められます。

    4. 大工工事業と内装仕上工事業の相互振替

    この2つの工事業種は特別で、相互に振り替え可能です。

    どちらかで8年以上+もう一方とあわせて12年以上の経験
    →その8年を超える業種で専任技術者として認められます。

    例:
    内装仕上工事業で8年、大工工事業で4年→合計12年→内装仕上工事業で認定。
    両方とも8年超えの場合は、両方の業種で専任技術者になれるチャンスがあります。

    まとめ:実務経験が足りない方も、あきらめないで!

    このように、建設業では業種の組み合わせや内容によって、実務経験が緩和される制度が用意されています。
    経験年数だけで諦めるのはもったいないかもしれません。

    ただし、細かい条件の確認や、経験の証明方法には専門的な判断が必要です。
    「うちのケースではどうなるの?」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

    ご相談はお気軽にどうぞ

    当事務所では、建設業許可の取得・更新はもちろん、専任技術者の実務経験の確認・整理・証明書類の作成まで、トータルでサポートしています。

    「要件を満たしているか不安…」
    「書類をどう書けばいいのか分からない…」
    そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
    あなたの経験が、きちんと評価されるよう、全力でお手伝いいたします。

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  • 【建設業】主任技術者の役割と配置要件を解説

    【建設業】主任技術者の役割と配置要件を解説

    建設業において「主任技術者」とはどのような存在でしょうか?聞き慣れない方もいるかもしれませんが、建設現場には法律で「主任技術者」の配置が義務付けられています。

    この記事では、主任技術者の役割や資格要件、配置ルールについて分かりやすく解説します。

    主任技術者とは?

    主任技術者は、建設工事を適正に進めるために配置される技術者です。施工管理の中心的な役割を担い、工事が法律や契約に基づいて適切に行われているかを監督・指導します。

    主任技術者の配置は全ての工事で必要?

    はい、原則として必要です。請負金額や元請・下請に関係なく、全ての建設工事に主任技術者を配置しなければなりません。

    ただし、発注者から直接請け負い、かつ4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上を下請契約して施工する特定建設業者の場合は、「監理技術者」の配置が必要です。

    主任技術者になるには?

    必要な資格や経験

    • 一級・二級施工管理技士などの指定資格
    • 一定年数の実務経験

    また、「直接かつ恒常的な雇用関係」が必要です。派遣社員や短期雇用では該当しません。

    一式工事や附帯工事の主任技術者も必要?

    建築一式工事に含まれる電気工事や給排水工事など、附帯する専門工事にも主任技術者が必要な場合があります。工事の種類に応じて配置要件が異なるため、専門的な判断が求められます。

    「専任」が必要な主任技術者とは?

    公共性の高い工事や多数の人が利用する建物に関する工事で、請負金額が3,500万円(建築一式は7,000万円)を超える場合、主任技術者は「専任」で現場に常駐しなければなりません。

    例外(特例)

    • 現場が同一または隣接している場合
    • 建物が一体的で工期が重なる場合

    このようなケースでは、1人の主任技術者が複数現場を兼任できることもあります。

    行政書士が関わるポイント

    主任技術者の配置要件は、建設業許可の取得や更新、業種追加の際に重要なポイントになります。

    「どの技術者が適しているのか分からない」「専任条件に当てはまるか不安」といったご相談にも、行政書士が的確にサポートします。

    まとめ:主任技術者は現場に不可欠な存在

    主任技術者は、現場の安全・品質・法令遵守を担う大切な役割を果たします。制度が複雑なため、多くの事業者が悩むポイントでもあります。

    「自分で調べて手続きするのは大変」と感じたら、ぜひ行政書士にご相談ください。

    建設業に関するご相談はお任せください

    当事務所では、建設業許可の取得から主任技術者の確認、申請書類の作成まで丁寧に対応しております。お気軽にご相談ください。

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  • 監理技術者とは?―建設現場に必要な「技術責任者」の役割

    監理技術者とは?―建設現場に必要な「技術責任者」の役割

    こんにちは。行政書士の吉村です。

    今回は「監理技術者」について、建設業に携わる方や、これから建設業許可を取得しようと考えている方向けに、わかりやすく解説します。

    建設業界は、専門性の高い法律や制度が多く、ちょっとした知識不足が大きなトラブルにつながることもあります。ぜひこの記事を通して、監理技術者制度の基本を押さえてください。

    監理技術者とは?

    まず、建設工事を適切に進めるためには、現場に「技術者」を配置することが法律で定められています。この技術者には2種類あります。

    • 主任技術者
    • 監理技術者

    このうち「監理技術者」は、ある特定の条件を満たす建設現場で必要になる、より高度な役割を担う技術者です。

    どんなときに監理技術者が必要?

    監理技術者の配置が求められるのは、以下のようなケースです。

    • 元請業者として工事を請け負った
    • その工事の下請金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上

    このような場合、建設業法により、通常の「主任技術者」ではなく「監理技術者」の配置が義務づけられます。

    監理技術者になるには?必要な資格と経験

    監理技術者になるためには、単に「経験がある」というだけでは足りません。次のような条件をクリアする必要があります。

    • 特定建設業の専任技術者として認められる資格や実務経験を持っている
    • 対象工事に関する国家資格や実務経験が一定年数以上ある
    • 監理技術者講習を修了している(資格者証の取得)

    監理技術者は、直接かつ恒常的な雇用関係にある人でなければなりません。つまり、「派遣社員」や「一時的な雇用の人」は監理技術者になれないのです。

    専任の監理技術者が必要な工事とは?

    さらに、国や自治体が発注する公共工事などでは、「専任の監理技術者」が求められます。

    専任とは、簡単に言えば「その現場だけに集中して働いている」状態のことです。他の現場と掛け持ちせず、常にその現場に責任を持つことが求められます。

    自分の工事に監理技術者は必要?判断が難しいときは

    ここまで読んで、「うちは監理技術者が必要なのか?」と疑問に思った方も多いかもしれません。

    • 工事の金額が微妙…
    • 元請として一部だけ下請けに出す予定…
    • 工事期間中に契約内容が変更される可能性がある…

    こうしたケースでは、状況に応じて必要かどうかが変わることがあります。さらに、監理技術者の兼任や、附帯工事・一式工事に関する特例などもあるため、専門的な判断が必要です。

    行政書士として、こんなサポートをしています

    行政書士は、建設業に関する法的手続きや書類作成、許可申請、監理技術者の適否判断などを、専門家としてサポートしています。

    • 監理技術者の要否確認とアドバイス
    • 技術者資格や実務経験の確認・証明資料の整備
    • 特定建設業許可の取得支援
    • 許可要件に関する行政庁との調整・相談

    まとめ

    • 監理技術者は、大規模な工事において必要な技術責任者
    • 一定額以上の下請契約がある元請工事では配置が義務
    • 資格・経験・雇用形態など、厳格な条件がある
    • 判断が難しい場合は、専門家である行政書士に相談を!

    ご不明な点や、「うちの場合はどうなんだろう?」というご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。

    あなたの建設業経営が、安心・確実に進むよう、全力でサポートいたします。

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  • 建設工事で注意したい「実質的な関与」とは?

    建設工事で注意したい「実質的な関与」とは?

    はじめに:その「丸投げ」大丈夫ですか?

    建設業の現場では、元請業者が下請業者に工事を任せることはよくあります。しかし、ここで注意すべきなのが「一括下請負」と呼ばれる禁止行為です。これは、元請業者が工事に関わらず、すべてを下請業者に任せてしまう、いわゆる「丸投げ」の状態のことを指します。

    このようなやり方は建設業法で禁止されており、違反すれば処分の対象になります。そこで重要なのが、元請業者が「実質的に関与」しているかどうかという点です。

    一括下請負とは?なぜ問題なのか

    一括下請負とは、元請業者が受注した工事をほとんど下請業者に任せ、自らは現場管理や指示をしないケースを指します。これは法律で明確に禁止されており、発覚すれば営業停止や許可取消といった行政処分の対象となります。

    逆に言えば、元請業者が工事にきちんと関与していれば一括下請負には該当しません。その「関与」こそが、「実質的な関与」です。

    「実質的に関与」とは?

    どのような行為が「実質的な関与」とみなされるのか、具体的なポイントを以下に整理します。

    1. 施工計画の作成・管理

    • 工事全体の施工計画を自ら作成、または下請業者の計画をチェック・修正
    • 設計変更があれば元請業者が対応

    2. 工程管理

    • 全体の進捗を把握し、必要に応じてスケジュール調整を実施

    3. 品質管理

    • 施工内容を確認し、必要なチェックや現場での立ち会いを行う

    4. 安全管理

    • 安全対策を主導し、現場巡回や指導を実施

    5. 技術的指導・総合調整

    • 主任技術者の配置、関係者間の調整、技術的な助言を行う

    下請業者が果たすべき役割

    下請業者にも責任があります。自らの工事範囲について、以下のような業務を実施する必要があります。

    • 施工要領書の作成や修正
    • 進捗確認と報告
    • 安全対策への協力、巡回への参加
    • 実地での作業指導
    • 他の下請業者との調整

    「実質的な関与」の証明方法

    口頭で「関与していた」と主張しても不十分です。以下のような記録や証言が証明材料になります。

    • 技術者や現場管理者へのヒアリング
    • 施工日報、工事打合せ記録、安全指示書などの文書

    まとめ:元請業者の責任と対策

    建設業において、元請業者の「実質的な関与」は非常に重要です。一括下請負と見なされないためには、積極的な現場関与が不可欠です。

    こうした管理体制や記録の整備には専門的な知識が必要です。「どこまでやれば大丈夫か?」という疑問がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

    行政書士ができるサポート

    • 一括下請負に該当しない体制づくりの支援
    • 実質的関与を示す記録作成の支援
    • 行政指導や許可申請対応のアドバイス

    お困りの際は、ぜひご相談ください。あなたの建設業務を、法令遵守の観点から全力でサポートいたします。

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  • 建設業の一括下請負禁止とは?理由と対策を解説

    建設業の一括下請負禁止とは?理由と対策を解説

    こんにちは。行政書士の吉村です。

    今日は、建設業に関わる方なら一度は聞いたことがある「一括下請負の禁止」について、わかりやすく解説します。

    違反すると許可の取消しや営業停止といった重大な処分を受ける可能性もあります。「一括下請負って何がダメなの?」「うちは大丈夫?」と不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。

    一括下請負とは?

    「一括下請負」とは、元請業者が請け負った工事を、そっくりそのまま他の業者に任せてしまうことを指します。自分では施工に関与せず、丸投げするような形態です。

    このような契約は、建設業法第22条により原則禁止とされています。元請業者は、請け負った工事に責任を持ち、自ら一定の関与をしなければなりません。

    なぜ一括下請負は禁止されているのか?

    建設工事には、品質・安全・工程の管理が不可欠です。元請業者が関与しないと、以下のような問題が起こる可能性があります。

    • 工事の品質が確保されない
    • 責任の所在が不明確になる
    • 労働環境の悪化

    これらのリスクを防ぐため、法律で厳しく規制されているのです。

    公共工事では全面禁止!

    特に公共工事では、一括下請負は例外なく全面禁止とされています。学校や道路、公共施設など、税金を使った工事では厳格な管理が求められます。

    民間工事での例外規定

    一方で、民間工事においては、発注者の書面による承諾があれば例外として認められる場合があります。

    ただし、以下の条件をすべて満たす必要があります。

    承諾が認められる主な条件

    • 発注者からの書面による承諾があること
    • 承諾は一括下請負の前に取得すること
    • 共同住宅の新築工事は例外なしで禁止

    また、承諾があっても、元請業者は建設業法上の責任を負い続け、技術者の配置や品質・安全管理が求められます。

    キーワードは「実質的な関与」

    一括下請負かどうかの判断基準は、元請業者が「工事に実質的に関与しているか」です。

    実質的な関与の具体例

    • 施工計画の作成と管理
    • 工程の調整・指示
    • 品質・安全の管理
    • 技術指導や近隣対応

    これらの業務を元請自らが行っていることが必要です。

    どうやって確認される?

    実質的関与の有無は、以下のような手段で確認されます。

    • 監理技術者や主任技術者へのヒアリング
    • 作業打合せ簿、工事日報、安全指示書などの書類

    これらが整備されていないと、「関与なし」と判断されるリスクがあります。

    違反した場合のリスク

    一括下請負が違法と判断された場合、行政処分や罰則を受ける可能性があります。最悪の場合は、建設業許可の取消しという重大な結果にもつながります。

    お困りの方は専門家へご相談を

    一括下請負のルールは複雑で、現場ごとに事情が異なります。少しでも不安な点があれば、ぜひ専門家にご相談ください。

    当事務所では、建設業法に関するご相談、書類作成、許可申請まで丁寧にサポートしております。お気軽にお問い合わせください。

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  • 【建設業の皆さまへ】公共工事に必須!経営事項審査とは?

    【建設業の皆さまへ】公共工事に必須!経営事項審査とは?

    こんにちは。行政書士の吉村です。

    今回は、建設業を営む皆さまにとって非常に重要な「経営事項審査」について、分かりやすく解説いたします。

    経営事項審査とは?

    経営事項審査(経審)とは、国や地方自治体などが発注する公共工事を請け負う建設業者に対して、経営状況や施工能力などを客観的に評価する制度です。

    この審査を受けていなければ、公共工事の契約自体ができません。また、審査の結果は総合評定値という点数で通知され、工事の規模や内容の参加条件に大きく関わります。

    経審が必要なケースとは?

    以下のような場合には、経営事項審査の受審が必須です:

    • 市役所や県の公共工事の元請として入札したい
    • 官公庁の仕事を継続的に受けたい
    • 大規模な工事を受注したい

    逆に、民間工事のみや下請け業者の場合は必須ではありませんが、将来的な公共事業への参加を考えるなら、早めの準備が有利です。

    経営事項審査の流れ

    STEP1:経営状況分析の申請

    まず、登録された分析機関に「経営状況分析」を依頼します。財務諸表(決算書)をもとに、経営の健全性や安定性が数値化されます。

    主な分析機関例:

    登録番号機関名所在地
    1建設業情報管理センター東京都中央区
    4ワイズ公共データシステム(株)長野県長野市
    11日本建設業経営分析センター福岡県北九州市

    審査後には「経営状況分析結果通知書」が発行されます。

    STEP2:経営事項審査の申請

    次に、建設業許可を受けている行政庁(都道府県または国)に対して経営事項審査を申請します。

    技術職員の配置状況や完成工事高なども審査対象となり、総合評定値通知書が交付されます。

    総合評定値の計算とは?

    評価項目は以下の4点です:

    • 経営規模(X):完成工事高、自己資本額など
    • 経営状況(Y):財務面の健全性
    • 技術力(Z):技術者数、工事実績
    • 社会性等(W):法令順守、保険加入状況など

    これらをもとに、P(総合評定値)が算出されます。この点数が高いほど、大規模な公共工事に参加しやすくなります。

    有効期限に要注意!

    審査結果の有効期間は「決算日の直前の日から1年7か月」です。期限切れに注意しないと、入札資格が失われる可能性があります。

    まとめ|経審は建設業者の成績表

    • ✅ 経審は公共工事を受注するために必須
    • ✅ 経営状況分析→経審申請の2段階手続き
    • ✅ 結果は会社の“建設業の成績表”
    • ✅ 有効期限を守ることが重要

    面倒な手続き、プロにお任せください!

    経営事項審査は「できないわけではないけど、正直手間がかかる」という声をよくいただきます。

    当事務所では:

    • ✅ 書類作成の代行
    • ✅ 提出スケジュールの管理
    • ✅ 分析機関の選定サポート

    初めての方や、申請期限が迫っている方も、お気軽にご相談ください。

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  • 建設業許可に必要な政令使用人とは?

    建設業許可に必要な政令使用人とは?

    こんにちは。行政書士の吉村です。

    今回は建設業許可に関わる重要なキーワードのひとつ、「政令で定める使用人」について、わかりやすくご説明します。

    政令で定める使用人とは?

    この言葉を初めて聞いた方も多いかもしれませんが、建設業において会社の経営を実質的に担う重要な立場の人を指します。

    建設業許可と経営業務の管理責任者

    建設業許可を取得するには、「経営業務の管理責任者(経管)」が必要です。これは経営に関して一定の経験と知識を持つ人物です。

    通常は会社の代表者が「経管」になりますが、一定の条件を満たせば、代表者以外でも経管として認められます。それが「政令で定める使用人」です。

    具体的な定義と該当者

    「政令で定める使用人」は、建設業法施行令第3条に定められており、次のような人物が該当します。

    • 支配人
    • 支店の代表者
    • 営業所の代表者(常時契約を締結している事務所に限る)

    これらの人物は、建設工事の契約や実行に関する決裁権を会社から委任されている必要があります。

    支配人の役割とは?

    支配人は、法律上非常に強い権限を持つ使用人です。会社法では、会社に代わって契約などの法的行為を行える人物とされています。

    支配人の主な権限

    • 会社の代理として契約を行う
    • 訴訟に代理人として対応する
    • 他の使用人の任命・解任が可能

    支配人を選任した場合、法務局への登記が義務付けられており、法人・個人事業主を問わず必要です。

    個人事業主にとってのメリット

    支配人登記は個人事業主にもメリットがあります。たとえば、以下のように活用可能です。

    • 後継者育成のため、子どもを支配人に登記し、経営経験を積ませる
    • 前経営者を支配人に登記し、経管要件を満たすために活用する

    政令で定める使用人が経管になる条件

    政令で定める使用人が「経営業務の管理責任者」として認められるためには、以下のような条件を証明する必要があります。

    証明に必要な条件

    • 該当する使用人であること(委任状など)
    • 常勤であること・実務経験があること
    • 必要書類の提出(建設業許可申請書、営業所一覧表、使用人一覧表など)

    書類の不備や証明不足があると審査に通らないこともあるため、注意が必要です。

    まとめ|政令で定める使用人の確認を!

    「政令で定める使用人」とは、会社代表以外でも建設業の経営に必要な権限を委任された人物です。

    支配人、支店長、営業所長などが該当し、条件を満たせば経営業務の管理責任者として建設業許可を取得できます。

    申請が不安な方は専門家へご相談を

    「自分たちでもできるかも」「でも不安…」という方もいるかと思います。書類準備や条件確認など、少しややこしい部分もあります。

    私たち行政書士は建設業許可の申請を専門に行っています。事前相談は無料ですので、「うちの場合はどうなのか?」と気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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