建設業を営むには原則「建設業許可」が必要ですが、すべての工事に許可が必要なわけではありません。「軽微な工事」や「附帯工事」のように、一定の条件を満たせば許可不要で施工できるケースもあります。
今回は「附帯工事」について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
附帯工事とは?
附帯工事とは、主たる工事に必要な補助的な工事のことを指します。建設業の許可制度では、原則として各工事ごとに専門の許可が必要ですが、実際の現場では複数の工種が連携して行われることが一般的です。
そのため、主たる工事を完成させるうえで必要な範囲であれば、他の許可がない業種の工事も施工が認められる仕組みが「附帯工事」です。
附帯工事の具体例
① 主たる工事の施工に必要な他の工事
例:石工事業者が石垣を作る際に、基礎の掘削やコンクリート打設を行う場合。
これらは石垣工事に附帯する工事として、石工事業者が行っても許可違反にはなりません。
② 独立して使えず、主たる工事に組み込まれている工事
例:管工事業者が冷暖房配管を行う際に、壁のはつり、断熱材の巻き付け、内装復旧を伴う場合。
これらはすべて主たる配管工事の一部として「附帯工事」と見なされます。
附帯工事に該当するかの判断基準
- 主たる工事にとって必要不可欠な作業か
- 一連の工事として実施するのが合理的か
- 工事発注者にとっての利便性
- 業界慣行として通常行われているか
注意:工事金額の大小は判断基準にはなりません。金額が大きくても附帯性があれば認められます。
附帯工事に関する注意点
附帯工事は許可なしで施工できるとはいえ、自由ではありません。特に500万円(税込)以上になる場合は次の対応が必要です。
- 該当工種の許可を持つ業者に外注する
- 主任技術者を配置して自社で施工する
これらを怠ると、無許可営業とみなされる可能性があります。
まとめ|附帯工事を正しく理解してリスクを回避
附帯工事とは、主たる工事を完成させるために必要な工事を、他業種の許可なしで行える仕組みです。柔軟な対応が可能となる一方、判断を誤ると法的リスクに発展します。
附帯工事かどうかの判断に迷う場合や、500万円を超える案件については、行政書士などの専門家に相談するのが安心です。
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