自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者が自ら手書きで作成する遺言書のことを指します。民法により作成方法が厳格に定められており、これに従わない場合、遺言書が無効となる可能性があります。自筆証書遺言を正しく作成するために、そのルールや注意点を詳しく解説します。


自筆証書遺言の作成ルール

自筆で書くこと

遺言者自身が手書きで全文を記載する必要があります。パソコンや代筆は認められていません。
遺言の全文・日付・氏名の記載

遺言書には以下の内容を必ず記載しなければなりません

全文:遺言の内容はすべて手書きで記載
日付:作成日を「○年○月○日」と具体的に記載(「吉日」は不可)
氏名:遺言者本人の氏名をフルネームで記載

押印の必要性
遺言書には押印が必要です。裁判所では実印に限らず認印や指印も認められていますが、偽造・変造を防ぐために実印の使用が推奨されます。


自筆証書遺言の訂正方法


遺言書を訂正する場合、以下の手続きを行わなければなりません。

訂正箇所を明示
訂正した旨を記載
署名と押印を訂正箇所に追加

誤った訂正方法を用いると遺言書が無効になるため、慎重に訂正するか、書き直すことが望ましいです。


財産目録の作成


遺言書に財産目録を添付することができます。財産目録は自筆でなくても作成可能であり、パソコンやワープロを使用できます。また、預金通帳の写しや登記事項証明書を添付することも認められています。ただし、財産目録の各ページには署名と押印が必要です。


遺言書の保管方法

自己保管のリスク
自筆証書遺言は自己責任で保管する必要があります。紛失や破棄・変造のリスクがあるため、適切な保管が求められます。

法務局での保管制度
2020年7月10日より「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が施行され、法務局に自筆証書遺言を預けることができるようになりました。この制度を利用すると、遺言書の紛失や変造を防ぎ、また家庭裁判所の検認手続きを省略することが可能となります。


自筆証書遺言の検認


自筆証書遺言は、遺言者の死亡後に家庭裁判所の「検認」を受ける必要があります。検認は遺言書の形式を確認する手続きであり、内容の有効性を判断するものではありません。なお、検認を受けずに遺言を執行した場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。


自筆証書遺言のメリット・デメリット

メリット
いつでも自分で作成できる
費用がかからない
内容を秘密にできる
デメリット
書き方のミスで無効になる可能性がある
検認の手続きが必要
紛失や偽造のリスクがある

まとめ


自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、法律に基づいた適切な記載が求められます。遺言書の有効性を確保するために、正しい方法で作成し、適切に保管することが重要です。必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

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