はじめに
遺言書を作成する際、「どのように書けばよいのか分からない」と悩む方も多いでしょう。そのような場合、法律の専門家である公証人を活用することで、適正かつ確実な遺言を残すことができます。
本記事では、公正証書遺言の特徴や作成手続きについて詳しく解説します。
公正証書遺言の特徴
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。自筆証書遺言と比較して、以下のようなメリットがあります。
紛争を未然に防ぐ効果
公正証書遺言は法律の専門家が関与し、適正な形式で作成されるため、後々の紛争を防ぐ効果があります。
遺言書の紛失・偽造を防止
作成された遺言書の原本は公証役場で厳重に保管されるため、紛失や改ざんのリスクがありません。
家庭裁判所の検認が不要
自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要ですが、公正証書遺言は不要です。これにより、相続手続きがスムーズに進みます。
公正証書遺言の作成手続き
必要な証人
公正証書遺言を作成するには、証人が2名以上必要です。ただし、次のような人は証人になれません。
未成年者
遺言者の推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族
公証人の配偶者、親族、使用人
証人を頼む際は、弁護士・行政書士・司法書士などの法律専門家に依頼することもできます。
作成の流れ
公証役場に相談
遺言の内容について事前に公証人と相談します。
証人の手配
証人2名を準備します。
公証人による遺言内容の筆記
遺言者が口述した内容を公証人が筆記し、遺言者および証人に確認してもらいます。
遺言者・証人の署名・押印
筆記内容に問題がなければ、遺言者と証人が署名・押印します。
公証人の署名・押印
公証人が署名・押印し、遺言書が正式に完成します。
正本・謄本の交付
遺言者には正本・謄本が交付され、原本は公証役場で保管されます。
公正証書遺言の費用
公正証書遺言の作成には、公証人の手数料が発生します。手数料は遺産の総額に応じて異なり、以下のように定められています。
相続財産の額 公証人手数料
100万円以下 5,000円
100万円超~200万円以下 7,000円
200万円超~500万円以下 11,000円
500万円超~1,000万円以下 17,000円
1,000万円超~3,000万円以下 23,000円
3,000万円超~5,000万円以下 29,000円
5,000万円超~1億円以下 43,000円
また、証人を弁護士・司法書士・行政書士に依頼する場合は別途費用が発生します。
公正証書遺言の活用が適している方
以下のような方には、公正証書遺言の作成をおすすめします。
自筆での遺言作成が難しい方
遺言の内容を確実に伝えたい方
相続争いを防ぎたい方
家庭裁判所での検認手続きを避けたい方
特に、視覚障害や聴覚障害がある方でも、通訳を活用することで公正証書遺言を作成することができます。
まとめ
公正証書遺言は、公証人が作成することで法的に有効性が高く、紛失・改ざんのリスクが低い遺言書の形式です。確実な遺言を残したい方は、公証人と相談のうえ、作成を検討してみましょう。
公正証書遺言の作成についてのご相談は、行政書士や弁護士にお問い合わせください。
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