遺言でできること|認知・未成年後見を詳しく解説

こんにちは、行政書士の吉村です。今回は「遺言でできること」の中でも、認知や未成年者の処遇に関する大切なお話をします。

遺言といえば、財産の分け方を決めるもの、というイメージが強いかもしれません。しかし実は、遺言には「身分関係」に関わる重要な内容を決める力もあるのです。

「自分が亡くなった後、子どもたちをどう守るか」「認知できなかった子に、きちんと自分の子どもとしての権利を与えたい」そんな大切な想いを実現できるのが、遺言です。

この記事では、一般の方にもわかりやすく、遺言でできる身分関係の決定について解説します。

遺言で決められる身分関係とは?

遺言によって影響を与えることができる「身分関係」には、主に次の3つがあります。

1.認知

認知とは、結婚していない男女の間に生まれた子(非嫡出子)を、父親が法的に自分の子どもだと認めることをいいます。

ふつう認知は、役所への届け出で行いますが、遺言によって認知する方法もあります。これは、父親が生前に認知できなかった場合でも、遺言書に「〇〇を自分の子と認める」と書くことで、死後に法的な親子関係が成立する仕組みです。

認知されると、その子どもは父親の法定相続人となり、相続の権利を得ることができます。つまり、遺言による認知は、子どもの権利を守るための重要な手段でもあるのです。

✔️ 認知=法律上の親子関係をつくること
しっかりと理解しておきましょう。

2.未成年後見人の指定

未成年後見人とは、親が亡くなったり、親権を失ったときに、子どもの生活や財産を守る人です。

たとえば、10歳の子どもがいる家庭で両親ともに交通事故で亡くなってしまった場合。このとき、子どもには親に代わって守る存在が必要になります。それが「未成年後見人」です。

民法第839条により、親は遺言で未成年後見人を指定することができます。遺言に「おばの花子さんにお願いしたい」と書いておけば、家庭裁判所はそれを尊重し、花子さんが後見人に選ばれます。

✔️ 未成年後見人は1人でも複数でも可能
✔️ 必要に応じて福祉法人などの団体を指定することも可能

子どもが安心して暮らせるよう、親が最後にできる大切な準備です。

3.未成年後見監督人の指定

未成年後見人だけで安心できるの?――そんな不安をカバーするため、未成年後見監督人という制度も用意されています。

未成年後見監督人は、未成年後見人がちゃんと子どものために行動しているかをチェックする役割です。

民法第848条により、遺言で未成年後見監督人も指定することができます。たとえば、「信頼できる友人に監督役をお願いする」という形も可能です。

遺言で監督人を指定しなかった場合でも、家庭裁判所が適切な人を選んでくれるので心配はいりません。

二重の安全網があるからこそ、子どもの未来をより確実に守ることができるのです。

遺言作成時の注意点

認知や未成年後見人の指定は、家族に大きな影響を与える重要な手続きです。作成にあたっては、次の点に十分注意しましょう。

  • ✅ 相続トラブルに配慮する
    認知によって新たに相続人が増えると、他の相続人との間でトラブルが生じることもあります。遺言を書く際には、家族関係や相続人の感情にも配慮することが大切です。
  • ✅ 信頼できる人を選ぶ
    未成年後見人には、子どもの生活や財産を適切に守れる人物を選びましょう。もし適任者がいない場合は、法人(福祉団体など)を選任することも視野に入れましょう。
  • ✅ できれば公正証書遺言で作成を
    認知や未成年後見人の指定といった重要な内容を遺す場合、公正証書遺言をおすすめします。公証人が内容を確認しながら作成するため、形式ミスによる無効リスクが少なく、亡くなった後もスムーズに効力が発生します。

まとめ:大切な人を守るために、遺言をきちんと準備しましょう

遺言によってできることは、単なる財産分配だけではありません。認知や未成年後見人の指定を通じて、大切な子どもたちや家族を守ることができるのです。

ただし、これらは家族関係や相続に深く関わるため、慎重な検討が必要です。大切な意思を確実に伝えるためには、専門家のサポートを受けながら作成するのが安心です。

当事務所では、遺言作成のご相談を丁寧にお受けしています。ご自身の想いをきちんと形にするために、ぜひ一度ご相談ください。

あなたとご家族の未来を守るお手伝いを、心を込めてサポートいたします。

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