「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の違いや分類を、わかりやすく丁寧に解説します。
1. 産業廃棄物とは?
事業活動を行うと、必ず何らかの「ゴミ」が出ますよね。その中でも「事業にともなって出たゴミ」で、「法律で指定されているもの」が 産業廃棄物(さんぎょうはいきぶつ) です。
🔸 産業廃棄物のポイント
- 家庭から出るゴミではありません。
- 会社や工場などの事業活動から出たゴミのうち、一定の種類のものが対象です。
- 廃棄物処理法で、20種類以上に分類されています。
2. 排出限定業種ってなに?
「紙くず」や「木くず」などの一部の廃棄物には、「この業種が出したときだけ産業廃棄物になる」というルールがあります。
たとえば:
- 建設業が出した紙くず → 産業廃棄物
- スーパーが出した紙くず → 一般廃棄物
このように「業種が限定されている」ものを、排出限定業種の産業廃棄物と呼びます。
3. 産業廃棄物の種類と内容(例で解説)
種類 | 内容・例 |
---|---|
燃え殻 | 焼却炉の灰、石炭がらなど |
汚泥 | 工場排水から出る泥など(有機も無機も含む) |
廃油 | エンジンオイルなど(ガソリン・灯油などを除く) |
廃酸・廃アルカリ | 酸性やアルカリ性の廃液(pHの基準あり) |
廃プラスチック類 | 使用済みのプラスチック、ビニールなど |
紙くず・木くず | 建設現場や印刷業などで出た紙・木材のくず |
金属くず | 鉄くず、スクラップなど |
ガラス・コンクリートくず | 建材・陶磁器などの破片 |
がれき類 | 建物解体時に出るコンクリートの破片など |
動物のふん尿や死体 | 畜産業から出るもの |
※ 合成紙・合成ゴム・合成繊維は廃プラスチック類になります。
4. 特別管理産業廃棄物とは?
産業廃棄物の中でも、とくに「有害性が高いもの」は、特別管理産業廃棄物(とくべつかんりさんぎょうはいきぶつ)とされます。
🔸 特徴
- 人の健康や環境に与える影響が大きい
- 通常の産業廃棄物よりも、厳しいルールで取り扱いが必要
- 収集運搬・処分の許可も別枠で必要
🔸 主な種類と例
種類 | 内容・例 |
---|---|
廃油 | ガソリン・灯油などの揮発性の高い油 |
廃酸・廃アルカリ | 腐食性の強い液体(pH2以下、pH12.5以上) |
感染性廃棄物 | 病院から出る血液・注射器など |
廃PCB等 | 高濃度のPCBを含むもの(旧いトランスなど) |
廃石綿等 | アスベスト(石綿)を含む建材など |
水銀等 | 水銀を含む廃液や器具 |
燃え殻・ばいじん | 焼却施設などから出る基準超過の灰など |
5. 許可の種類と注意点
産業廃棄物を運ぶ・処分するには、産業廃棄物収集運搬業などの許可が必要です。
特別管理産業廃棄物は別の許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業など)が必要になります。
これらの許可は都道府県や政令市ごとに取得する必要があり、実務では許可取得サポートのニーズが高い分野です。
6. 事業系一般廃棄物とは?
事業活動で出たゴミでも、「産業廃棄物」「特別管理産業廃棄物」に該当しないものは、事業系一般廃棄物に分類されます。
たとえば:
- 会社のオフィスから出た弁当の容器、紙くずなど
- 飲食店の厨房ゴミなど
これらは市町村が処理責任を持つゴミですが、処理の委託には別の許可が必要で、新規参入が難しい分野です。
まとめ:3つの廃棄物の違い
区分 | 内容 | 許可の種類 |
---|---|---|
産業廃棄物 | 工場・建設業などから出る指定の廃棄物 | 産業廃棄物収集運搬業、処分業 |
特別管理産業廃棄物 | 有害・感染性・危険性の高い産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物収集運搬業、処分業 |
事業系一般廃棄物 | 上記以外の事業ゴミ | 一般廃棄物収集運搬業(市町村管轄) |
この内容は、建設業許可申請の現場でもよく問われます。とくに廃棄物の処理を委託している証明書類(マニフェスト)の有無は、許可審査でのチェックポイントになります。