2024年(令和6年)5月に民法が改正され、新たに民法第824条の2が追加されました。
本条文は、親権の行使方法を明確にするもので、共同親権に関連して今後重要な役割を果たします。
民法第824条の2とは
民法第824条の2は、「親権の行使方法等」について定める条文です。
公布日から2年以内に施行される予定であり、親権の共同行使と単独行使の範囲について具体的に記されています。
条文のポイント
- 親権は原則として父母が共同して行う。
- 以下の場合には、一方の親が単独で行使できる。
- 一方のみが親権者である場合
- 他方が親権を行使できない場合(喪失・行方不明等)
- 子の利益のため急迫の事情がある場合
- 日常の監護・教育行為については単独で行使可能
- 意見が合わない場合、家庭裁判所が一方の単独行使を認めることができる
親権の共同行使と単独行使の違い
共同行使の原則
父母がともに親権者である場合、親権は共同で行使することが原則です。
進学、転居、手術の同意など、重要な事項は協議が必要です。
単独での親権行使が認められる場面
- 離婚後、一方の親のみが親権者とされた場合
- 他方の親が長期不在、連絡不能などの場合
- 緊急医療、入学手続など急迫の事情がある場合
「日常の行為」とは
例えば以下のような行為は、単独での親権行使が可能です。
- 習い事の申込み・解約
- 高校生のアルバイト許可
- 定期予防接種や風邪の治療
一方、以下のような事項は「日常の行為」に含まれないとされています。
- 私立小・中学校への入学
- 高校進学・中退
- 海外留学や転居
- 重大な医療処置(手術等)
協議が整わない場合と家庭裁判所の関与
重要な事項で父母の意見が分かれ、協議が調わない場合には、家庭裁判所が判断を行います。
子の利益を最優先に、一方の単独行使を認める決定がされることがあります。
今後の動向と周知活動
「急迫の事情」や「日常の行為」の定義はやや曖昧との指摘もあり、今後は法務省によって、インターネットやパンフレット等を通じた周知活動が行われる予定です。
まとめ
民法第824条の2は、親権の具体的な行使方法を定める新しいルールです。
特に共同親権のもとで、どのような場合に単独で判断できるかが明文化された点は、実務においても大きな意義があります。
行政手続や家庭裁判所への申し立てなど、状況に応じた適切な対応が求められます。
当事務所では、法改正に関するご相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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