「後見人って、どこまでやってくれる人なんですか?」
「身の回りの世話も全部お願いできると思っていました」
成年後見制度について、このような誤解や疑問は非常に多く寄せられます。
実際の現場では、
- 後見人に頼んだら断られた
- 施設や病院との認識が食い違った
- 「そこまでやる義務はない」と言われて困った
といったトラブルも少なくありません。
この記事では行政書士が、
- 後見人が法的にできること
- 後見人がやってはいけないこと
- 現場でよくある具体例(おむつ・洗濯など)
を整理し、
「どこまでが後見人の役割なのか」を分かりやすく解説します。
成年後見人の基本的な役割とは
成年後見人の役割は、大きく分けて次の2つです。
- 財産管理
- 身上監護
ここで注意したいのは、
「身上監護 = 介護や世話そのもの」ではない
という点です。
後見人は、
生活を“支えるための法律行為・契約行為”を行う立場であり、
直接的な世話係ではありません。
後見人が「やっていいこと」一覧
① 財産管理に関すること
- 預貯金の管理・支払い
- 年金・給付金の受領
- 公共料金・医療費・施設費の支払い
- 不必要な契約の解約
これは後見人の中核業務です。
② 身上監護に関する「契約・調整」
- 介護サービス契約の締結
- 施設入居契約の手続き
- 医療機関との連絡調整
あくまで手配・判断・契約が役割であり、
実際の介護は事業者が行います。
③ 行政手続き・各種申請
- 介護保険の申請
- 障害福祉サービスの手続き
- 役所への届出
本人に代わって行う法的手続きが中心です。
後見人が「やってはいけないこと」一覧
ここが最も誤解されやすいポイントです。
① 直接的な介護・世話
- おむつ交換
- 入浴介助
- 食事介助
これらは後見人の業務ではありません。
後見人が行うと、責任の所在が不明確になります。
② 家事全般
- 洗濯
- 掃除
- 買い物
「後見人=何でも屋」ではありません。
必要な場合は、
ヘルパー契約や生活支援サービスを手配するのが役割です。
③ 医療行為・医療同意
後見人は、
手術や延命治療への同意はできません。
これは「一身専属性」という法律上の考え方によるものです。
よくある現場の誤解とトラブル事例
「おむつや洗濯を頼めると思っていた」
施設や家族が、
後見人に生活全般を期待してしまうケースです。
後見人は、
「やる人」ではなく「整える人」
であることを理解する必要があります。
「保証人代わりになると思っていた」
後見人は、
原則として身元保証人にはなれません。
この誤解は、医療・介護現場でも非常に多く見られます。
なぜ「できないこと」が多いのか
成年後見制度は、
本人の権利と財産を守るための制度
です。
後見人に何でも任せてしまうと、
- 責任の集中
- 権限の濫用
- 本人意思の軽視
につながる恐れがあります。
そのため、あえて役割は限定的に設計されているのです。
後見だけでは足りない理由
ここまで読んで、
「後見人だけでは生活が回らないのでは?」
と感じた方も多いでしょう。
実務では、
- 事務委任契約
- 死後事務委任契約
- 生活支援サービス
を組み合わせることで、
現実的な支援体制を作ります。
行政書士に相談するメリット
行政書士は、
- 後見制度の正確な説明
- 現場で使える契約設計
- 関係者との役割整理
を行う専門家です。
「どこまで頼めるのか分からない」
「現場と話がかみ合わない」
そんなときこそ、専門家の出番です。
まとめ|後見人の役割を正しく知ることが安心につながる
- 後見人は法律行為の支援者
- 直接介護や家事は行わない
- 「できること・できないこと」の理解がトラブル防止になる
成年後見制度は、正しく使えば非常に心強い制度です。
しかし、誤解したままでは、
「こんなはずじゃなかった」という結果になりかねません。
後見制度や将来の備えについて不安がある方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
制度を現実の生活に落とし込むお手伝いをいたします。
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