「成年後見人がついていれば、亡くなった後のこともお願いできる」
そう思っている方は、実は少なくありません。
しかしこれは、とても多い誤解です。
結論から言うと、後見人は“死後のこと”を行うことができません。
この点を理解していないと、亡くなった後の手続きが宙に浮き、周囲に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
この記事では、行政書士の立場から、
- なぜ後見人は死後の手続きをできないのか
- 後見制度の「限界」
- 現実的な解決策として何を準備すべきか
を、エンディング対策の視点でわかりやすく解説します。
成年後見制度は「生きている間」の制度
成年後見制度(法定後見・任意後見)は、
- 判断能力が不十分な方を守る
- 財産管理や契約行為をサポートする
ための制度です。
つまり、後見制度の目的は「生前の支援」にあります。
後見は「死亡」で当然に終了する
法律上、成年後見契約は、
本人が亡くなった時点で当然に終了します。
これは法定後見でも任意後見でも同じです。
そのため後見人は、
- 死亡届の提出
- 葬儀や火葬の手配
- 遺品整理
- 住居の解約
といった死後の事務を行う権限が一切ありません。
「少しぐらいならやってくれる」は通用しない
実務では、
「後見人がついているから、亡くなった後も何とかしてくれるだろう」
と期待されているケースをよく見かけます。
しかし、後見人が契約外の行為を行うと、
- 権限外行為
- 善管注意義務違反
- 損害賠償リスク
につながるおそれがあります。
特に専門職後見人は、「できないことはできない」と線を引く義務があります。
では、死後のことは誰に頼めばいいのか?
ここで必要になるのが、死後事務委任契約です。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約とは、
自分が亡くなった後に必要となる事務を、あらかじめ第三者に依頼しておく契約です。
具体的には、次のような内容を定めます。
- 死亡届・火葬許可申請
- 葬儀・納骨の方法
- 病院・施設の費用精算
- 賃貸住宅の解約・明け渡し
- 遺品整理・行政手続き
身寄りのない方にとっては、
「死後の保証人」ともいえる重要な契約です。
任意後見契約と死後事務委任はセットで考える
エンディング対策として非常に重要なのが、
- 任意後見契約
- 死後事務委任契約
を別物として、しかしセットで準備するという考え方です。
なぜなら、
- 任意後見 → 生きている間の支援
- 死後事務委任 → 亡くなった後の支援
と、役割がはっきり分かれているからです。
この2つを組み合わせることで、
「生前から死後まで切れ目のない備え」が完成します。
エンディング対策でよくある失敗例
後見契約だけで安心してしまう
後見制度は万能ではありません。
死後の空白期間を埋める対策をしていないと、最終的に困るのは周囲の人です。
口約束で済ませてしまう
「何かあったらお願いね」という口約束は、
法的には何の効力もありません。
死後の事務は、必ず契約書で明確にしておく必要があります。
行政書士がエンディング対策でできること
行政書士は、
- 任意後見契約
- 事務委任契約
- 死後事務委任契約
- 遺言書
を総合的に設計し、
「その人らしい最期」を法的に支える専門職です。
特に身寄りのない方の場合、
一つでも抜けると大きな不安やトラブルにつながります。
まとめ|死後のことは「後見人任せ」にできない
- 後見制度は死亡で終了する
- 後見人は死後事務を行えない
- 死後事務委任契約が現実的な解決策
「まだ先のこと」と思っている今こそが、
実は一番落ち着いて準備できるタイミングです。
エンディング対策や将来への不安を感じたら、
どうぞお気軽に行政書士へご相談ください。
あなたの想いを、確実に形にするお手伝いをいたします。
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