「もし倒れて入院したら、誰が手続きをしてくれるのだろう」
「将来、判断力が落ちたときはどうなるのか」
「亡くなった後のことまで、迷惑をかけずに済ませたい」
身寄りのない高齢者の方、いわゆるおひとりさまから、こうした不安の声を多く耳にします。
近年は「身元保証サービス」や「終身サポート」という言葉も増えましたが、
本当に大切なのは、法的に有効な契約をきちんと準備しておくことです。
この記事では、行政書士の立場から、
身寄りのない高齢者が安心して老後を迎えるために、最低限準備しておくべき3つの契約を、わかりやすく解説します。
なぜ「契約」による備えが必要なのか
元気なうちは、「まだ大丈夫」「そのときになったら考えよう」と思いがちです。
しかし、いざ体調を崩したり、判断能力が低下した後では、自分の意思で準備することができなくなります。
また、身寄りがない場合、
- 入院や施設入居の手続きをしてくれる人がいない
- お金の管理を任せられない
- 亡くなった後の手続きが宙に浮く
といった問題が現実に起こります。
これらを防ぐために必要なのが、元気なうちに結ぶ3つの契約です。
① 事務委任契約|「今は元気」なうちの支え
事務委任契約とは、判断能力がしっかりしているうちから、
- 財産管理
- 支払い代行
- 各種手続きのサポート
などを、信頼できる第三者に任せる契約です。
事務委任契約でできること
- 公共料金や家賃の支払い
- 通帳・預貯金の管理
- 介護サービスや施設との連絡調整
「まだ後見制度を使うほどではないけれど、不安がある」
そんな段階で活躍するのが事務委任契約です。
② 任意後見契約|判断能力が低下したときの備え
任意後見契約は、将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備える契約です。
あらかじめ、
- 誰に後見人になってもらうか
- どこまでの権限を与えるか
を自分で決めておき、判断能力が低下した段階で効力が発生します。
法定後見との大きな違い
家庭裁判所が選任する「法定後見」と違い、
任意後見は「自分で選んだ人」に任せられる点が最大のメリットです。
身寄りのない方にとって、
信頼できる専門職と任意後見契約を結んでおくことは、将来の安心につながります。
③ 死後事務委任契約|亡くなった後まで責任を持ってもらう
意外と見落とされがちですが、身寄りのない方にとって最も重要なのが、死後事務委任契約です。
これは、本人が亡くなった後に行う、
- 死亡届の提出
- 火葬・納骨の手配
- 賃貸住宅の解約
- 遺品整理
- 各種支払い・精算
といった事務を、第三者に任せる契約です。
成年後見契約は死亡と同時に終了するため、
死後の手続きを任せるには、別途この契約が不可欠です。
この3つの契約は「セット」で考えることが重要
よくある誤解として、
- 任意後見契約だけあれば安心
- どれか1つ結べば十分
と思われがちですが、これは危険です。
実務上は、
- 元気なうちは「事務委任契約」
- 判断能力低下後は「任意後見契約」
- 死亡後は「死後事務委任契約」
と、人生のステージごとに役割が分かれています。
この3つを組み合わせることで、
生前から死後まで切れ目のないサポート体制を作ることができます。
行政書士に相談するメリット
これらの契約は、ひな形を使って作ればよいものではありません。
財産状況、住まい、将来の希望によって、
内容を細かく設計する必要があります。
行政書士は、
- 3つの契約を一体として設計できる
- 誤解やトラブルを防ぐ文言を整えられる
- 将来を見据えた現実的な提案ができる
という点で、身寄りのない高齢者の法的サポートに適した専門職です。
「今は元気」なうちの準備が、将来の安心をつくる
- 事務委任契約:今の生活を支える
- 任意後見契約:判断能力低下に備える
- 死後事務委任契約:亡くなった後まで任せる
身寄りがないことは、決して不利なことではありません。
正しく準備すれば、自分らしい老後を選ぶことができます。
将来に少しでも不安を感じたら、
どうぞお早めに行政書士へご相談ください。
あなたの人生設計に寄り添い、安心できる仕組みづくりをお手伝いします。
↓
