【実務解説】完成工事高の年額換算とは?

〜決算期変更・設立初年度など、迷ったらここで確認!〜

こんにちは。行政書士の吉村です。
今回は、建設業許可に関わる「完成工事高」の記入について、少し特殊なケース——たとえば「決算期を変更した」「初年度で事業期間が短い」などの場合に必要となる年額換算の方法について、分かりやすくご説明します。

年額換算とは?

建設業の許可申請では、過去3年分の「完成工事高」(元請・下請の別も含む)を提出する必要があります。これは、事業の継続性や経営能力を審査するための大事な指標です。

しかし、以下のようなケースでは、そのままの数字を使うと正確な比較ができません。

  • 決算期を変更した
  • 法人を設立して最初の決算期が12か月未満
  • 合併・分割などで事業期間が中断している

このような場合には、「12か月分の工事高」に換算して記載する必要があります。これが年額換算です。

年額換算のやり方(実務編)

ケース1:決算期を変更した場合

事例:決算期変更により、事業年度が6か月になった
完成工事高:6か月で300,000千円
前年度(12か月)の完成工事高:480,000千円

計算方法:
不足する6か月分を、前年度のデータから按分して補います。

300,000 × 6/6 + 480,000 × 6/12 = 540,000(千円)

帳票への記載:
【20002帳票】の「完成工事高」「元請完成工事高」欄に、540,000と記入し、余白に「300,000×6/6 + 480,000×6/12 = 540,000」と記載します。

ケース2:設立初年度が12か月未満の場合

事例:設立日:令和3年8月1日
決算期:令和4年3月31日(8か月間)
完成工事高:200,000千円

計算方法:
8か月分を12か月に換算します。

200,000 × 12/8 = 300,000(千円)

帳票への記載:
【20002帳票】の該当欄に300,000と記載し、余白に「200,000×12/8=300,000」と明記しましょう。

法令上の根拠

  • 建設業法施行規則第7条第1項第3号の2
  • 経審マニュアルにも換算記載の具体例あり

「直近の事業年度が12か月に満たないときは、これを12か月に換算した数値により記載することができる。」

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 勝手に12か月で計算していいんですか?

A:いいえ。必ず、基準となる期間に応じて、前年度から必要分だけを按分して補完する必要があります。

Q2. 按分ってどうやって計算するの?

A:月単位で均等割りします。たとえば12か月で480,000千円なら、1か月あたり40,000千円。6か月分=240,000千円となります。

Q3. 千円未満はどうしますか?

A:切り捨てます。帳票単位が「千円」なので、小数点以下は記入しません。

Q4. 決算期変更はどこで確認するの?

A:登記事項証明書の「事業年度終了日」で確認できます。
また、法人税申告書の別表一や内訳明細書でもチェック可能です。

実務上の注意ポイント

チェック項目内容
決算期間の確認登記簿・決算書で必ず確認
計算式の明記按分や換算の根拠は、帳票内にメモとして記載
数値は公平に処理申請者に有利・不利にならないように、事実に基づく
説明の準備を忘れず審査官から根拠を求められることがあります

まとめ

特殊なケースでも、完成工事高を12か月ベースで整えることで、審査における公平性や信頼性が確保されます。

慣れていないと「年額換算ってややこしい…」と思われるかもしれません。でも大丈夫。手順をきちんと踏めば、根拠を持って記入できます。

ただし、計算間違いや記載漏れがあると、審査で差し戻しになる可能性も…。
「ちょっと不安…」と感じた方は、無理をせず、行政書士に相談してみてください。

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