相続開始後に確認すべき保険給付と保険金について

はじめに


相続が開始すると、被相続人の死亡に伴い、さまざまな保険給付や保険金の請求権が発生する場合があります。

これらの請求権は、一定期間内に手続きを行わないと時効によって消滅してしまうため、忘れずに請求することが重要です。
被相続人が加入していた保険の種類や保険料の納付状況に応じて、請求できる可能性のある給付には以下のようなものがあります。

国民健康保険・健康保険関係

葬祭費


国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、葬儀を執り行った方に対して「葬祭費」が支給されます。

支給額は自治体によって異なり、請求期限は死亡日の翌日から2年です。


埋葬料・埋葬費


健康保険の被保険者が業務外の理由で死亡した場合、生計を維持されていた遺族に「埋葬料」が支給されます。

該当する遺族がいない場合は、埋葬を行った方に「埋葬費」として実費が支給されます。

請求期限は死亡日の翌日から2年(埋葬費は埋葬日の翌日から2年)です。

国民年金関係

遺族基礎年金


生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給可能です。

受給要件には、被保険者が一定の年金加入期間を満たしていることが含まれます。

請求期限は死亡日の翌日から5年です。


寡婦年金


第1号被保険者として10年以上保険料を納めた夫が死亡した場合、10年以上婚姻関係を継続していた妻が60歳から65歳まで受給可能です。

請求期限は死亡日の翌日から5年です。


死亡一時金


第1号被保険者が死亡し、36か月以上保険料を納付していた場合、遺族に一時金が支給されます。

請求期限は死亡日の翌日から2年です。

厚生年金関係

遺族厚生年金


厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、生計を維持されていた遺族が受給可能です。

一定の加入期間などの要件を満たす必要があります。

請求期限は死亡日の翌日から5年です。

労災保険関係

遺族補償年金(遺族年金)


業務災害や通勤災害による死亡の場合、被災労働者の収入により生計を維持されていた遺族が受給できます。

請求期限は死亡日の翌日から5年です。


遺族補償年金前払一時金(遺族年金前払一時金)


遺族補償年金の受給者は、1回に限り年金の前払いを受けることができます。

請求期限は死亡日の翌日から2年です。


遺族補償一時金(遺族一時金)


遺族補償年金の受給者がいない場合、または受給権者全員が受給資格を失った場合に、一時金が支給されます。

請求期限は死亡日の翌日から5年です。


葬祭料(葬祭給付)


労災による死亡の場合、葬祭を執り行った方に給付されます。

請求期限は死亡日の翌日から2年です。

生命保険(任意保険)


被保険者が生命保険に加入していた場合、保険会社から死亡保険金を受け取ることができます。

請求期限は死亡後3年です。

まとめ


相続が発生すると、被相続人の死亡に伴い、さまざまな保険給付を請求できる可能性があります。

これらの請求権には2~5年の時効があるため、忘れずに手続きを行うことが重要です。


主な保険給付
国民健康保険・健康保険(葬祭費、埋葬料、埋葬費)
国民年金(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)
厚生年金(遺族厚生年金)
労災保険(遺族補償年金、遺族補償年金前払一時金、遺族補償一時金、葬祭料)
生命保険(任意保険)


該当する給付があるかどうかを確認し、早めに申請を行うことをおすすめします。

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